サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会日本代表MF香川真司(29)が、ドルトムントからトルコ1部ベシクタシュに期限付き移籍することが1月31日、分かった。契約は今季終了まで。この日、ドイツから同国イスタンブールに入り、正式サインした。昨年11月から移籍願望を公言してきたスペイン挑戦は今夏以降に持ち越し、出場機会を最優先。欧州ではドルトムント、マンチェスターUに続く3クラブ目に、トルコで優勝15回の名門を選んだ。

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香川が、電撃的に新天地をトルコに決めた。今冬の移籍市場が閉まる直前に急展開。スペイン移籍を目指していた中、まずフランス1部モナコが名乗りを上げた。しかし、契約期間など条件面で折り合わず30日夜に破談。同クラブがトットナムからフランス人MFを獲得する代案に逃れ、香川獲得の可能性が消滅した。

それでも欧州内の評価は揺るがず、モナコの後に同じドイツのハノーバーが急浮上するなど、水面下では選択肢を持っていた。最終的な決め手は出場機会。試合に飢えていた。諸条件をのんだベシクタシュとの交渉が進展し、30日の深夜から31日の朝にかけて話がまとまったという。ドルトムントとの契約は20年夏まで残っており、今季終了までの期限付き移籍となる見通し。レンタル料は110万ユーロ(約1億3750万円)で最終調整に入った模様だ。

ベシクタシュは、かねてギュネシュ監督が獲得を熱望。香川がW杯で日本を16強に導いた昨夏も正式オファーが届いたが、断っていた。ところがW杯後、まさかの構想外に。リーグ戦2試合、欧州CL1試合、ドイツ杯1試合しか出番がない不遇に陥った一方、チームはドイツで首位を走っており、チャンスがない。その逆境下、この冬に再びベシクタシュからの申し出を受け、期限まで選択肢を精査した上で承諾に至った。

夢はスペインだった。昨年11月、本紙インタビューで移籍願望を公言した。「リーガは最終目的地」「スペインへ行かずに、サッカー選手を終えることはできない」-。ほとばしる思いを隠さなかったが、昨年末には「移籍の難しさを肌で感じている」とも覚悟していた。現地の話を総合すると、動きが表面化していたセビリア以外のクラブからも獲得興味を示されたが、高額年俸などがネックとなり、この冬はなくなった。

それでも、物心ついたころからの希望を失うことはないという。まずは自身を欲してくれたベシクタシュのために力を注ぐ。試合に出る。現在6位のチームを上位に導く。その先の話として、スペイン挑戦を今夏以降に持ち越した。他クラブの魅力的な誘いになびかなかったのも、原則今季終了までの期限付き移籍にこだわったのも夢のため。スペインで日本人の成功例になる使命は忘れていない。

ドルトムント、マンチェスターUに続く欧州3クラブ目。この日朝、ドイツからイスタンブールへ飛び、アタチュルク空港で報道陣やファンに囲まれた。その後、メディカルチェックを受けて移籍市場が閉まる寸前に正式サイン。「ベシクタシュ香川」が誕生した。