サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会を共催する米国で、大会の試合を対象にした賭博が盛況だ。スポーツ賭博の成長市場である米国では、自国開催でサッカーへの関心が高まっており、世界での賭け額が前回大会から約4割増えるとの分析も。ギャンブル依存症の専門家は、若者がオンライン賭博の標的になっていると警鐘を鳴らす。
6日、米西部ラスベガス。きらびやかなホテル内のカジノにある幅約40メートルの巨大画面の中央に、決勝トーナメント2回戦の米国-ベルギー戦の中継映像が流れていた。専用の座席は約200席で、ほぼ満員。ポーカーやスロットマシンのいすに座って見る人や、立ち見もいた。点が入るたびに歓声やため息が漏れる。
カナダ東部ケベック州から訪れた金融業のジョン・ジェヌーゼスさん(28)も試合に一喜一憂していた一人だが、こう断言した。「お金を賭けているから、のめり込んでいるだけ。ファンである必要はない」。米国のユニホームを着た人や、星条旗を手にした人もいるが、米国が敗れた後、健闘をたたえる拍手は起こらなかった。
米メディアによると、専門家は今大会の賭け額は全世界で500億ドル(約8兆1千億円)を超える可能性があると指摘した。前回大会を150億ドル上回る予想の背景にあるのは、米国での関心の高まりだ。中西部ミズーリ州の会社員ザック・キーンさん(46)は、今大会で初めてサッカーに賭けた。「自国開催だから」が理由だ。
一方、依存症のリスクは無視できない。2024年には大リーグ大谷翔平選手の通訳だった男=銀行詐欺罪などで収監中=が大谷選手の資金を無断で違法スポーツ賭博に使い、負けるたびに賭け金を増やしていたことが明るみに出た。
「額を決めている」。W杯に賭けていた客は、自らルールを設けていると語る。だがスポーツ賭博依存症の予防や治療に取り組む非営利団体「ストップ・ベッティング・スポーツ」を設立したデボラ・ブハジさん(44)は、それでも依存に陥る人はいると話す。
米国では近年、スポーツ賭博を合法とする州が増え、オンライン市場も成長している。ブハジさんは、オンライン賭博の運営側は人工知能(AI)で参加者の行動を分析し、若者らを対象に「利益を吸い上げようとしている」と指摘。政府の規制や注意喚起が不十分だと批判した。(共同)


