【アトランタ15日(日本時間16日)=佐藤隆志】王者アルゼンチン(FIFAランキング1位)が、史上3チーム目の連覇へ王手をかけた。数々の因縁があるイングランド(同4位)に先制点を許しながら、FWリオネル・メッシ(39)の2アシストで後半40分から7分間で2点を奪い、劇的な2-1の逆転勝ちを収めた。19日(日本時間20日)の決勝ではスペイン(同2位)と対戦。連覇に加え、ここまで8得点4アシストのメッシには史上初の得点王、アシスト王、MVPの個人3冠の期待が懸かる。
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「神の子」が降臨し、またもアルゼンチンが土壇場で勝負を引っ繰り返した。劇的逆転劇の仕掛け人は、やはりメッシだった。完全に引いて1点を守ろうとするイングランドに対し、ゴール前でなく右サイドに張ってラストパスの出し手となった。フィニッシャーでなく、クロッサーへの役割変更。精度の高いボールを次々とゴール前へ蹴り込んで、圧力をかけた。
たたき続けたからこそ壁は破られた。後半40分、ショートCKから素早くゴール前、でなくペナルティーエリア外へパスをつなぎ、MFフェルナンデスのミドルシュートを引き出した。1-1の同点。さらに後半追加タイムの47分だ。味方シュートのこぼれ球を素早く拾い、右サイドから、利き足とは逆の右足で高精度のクロスを奥側に送り、La・マルティネスが頭で押し込んだ。決勝点。激闘に終止符を打った。メッシはひざまづき、何度もガッツポーズを繰り返した。
「このW杯は、クレイジーだ。再び決勝に進出できたなんて信じられない。僕たちは自分たちの気概や意欲、団結力、強さ、そしてサッカーの素晴らしさを改めて示すものとなった。なぜなら僕たちは自分たちのプレーと忍耐力でそれを求めてきたから」と喜んだ。
因縁のイングランドを退けた。過去の歴史をひも解けば82年フォークランド紛争の問題は避けられない。政治とサッカーは別とはいえ、かつてマラドーナは敵意をむき出しにした。代理戦争とも呼ばれた86年メキシコ大会準々決勝。「神の手」で勝利をもぎ取った。そのマラドーナの遺伝子を受け継ぐメッシは誰よりも激しく戦った。肉弾戦を受けても倒れずに突破したプレーは圧巻だった。
「今日は信じられないほど素晴らしい1日だった。あくまでサッカーの1試合だけど、イングランドとの対戦はその意味合いを考えると常に特別なものであり続ける。それがW杯の準決勝となれば、なおさらだ」
メッシとは何者なのか? 「最後のW杯」と位置付けながら39歳にして超人的なプレーの数々。10年のミュラー(ドイツ)以来となる得点王とアシスト王のダブル受賞、さらにはMVPも手の届く位置にある。23回96年の歴史で初めてだ。
「アルゼンチンの人々にカタールの時(4年前)と同じことを伝えるよ。楽しんでほしい。このチームは決して、あなたたちを裏切ることはない。あとは神様の御心次第だ。僕たちと同じように、この瞬間を楽しんでほしい」
そうは言ったが、史上3チーム目の大会連覇は「神様の御心次第」ではない。メッシそのものに懸かっている。
○…メッシが史上初の個人3冠達成に前進した。決勝に導く2アシストで今大会4アシスト。トップと1差のランキング2位に浮上した。得点とアシストのダブル最多を達成すれば10年のミュラー(ドイツ)以来16年ぶりの快挙。さらに前人未踏の2大会連続で3度目となるMVPも近づく。8ゴールで並ぶFWエムバペ(フランス)は3位決定戦が残っており、得点王争いは最後まで白熱しそうだ。


