平均年齢20・7歳の若いチームは言葉の力でまとまった。パナソニックが2時間15分22秒で2年連続2度目の優勝を果たした。

1区の森田香織(23)が2年連続区間賞となる快走でリードを奪い、3区の渡辺菜々美(19)が区間記録へ1秒と迫る走りで流れを呼び込んだ。差を詰められて迎えた5区では堀優花(22)が区間記録を5秒更新する走りで抜け出し、結局、2位天満屋に57秒差を付けた。

のびのびと、元気よく走る精神を体現するため、安養寺俊隆監督(53)は「ボンバイエ駅伝」と今年のテーマを設定。指揮官は「その走りを達成してくれた」と喜んだ。フィニッシュ後はチームで輪になって「パナソニック ボンバイエ」と叫んだ。

もちろん「ボンバイエ」は、あのアントニオ猪木の有名フレーズ。今春、パナソニック・コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長が方針発表で「パナソニック ボンバイエ」と活気づけていた様子を見て、安養寺監督は「これは元気が出る。女子陸上部も昨年の勢いが今年も表現できるように合言葉にしようと。ボンバイエ駅伝だ」と思ったのだという。

とはいえ最初、若い女子は「ボンバイエ」と聞いても、いまいちピンと来ていなかったそう。安養寺監督は猪木-ムハマド・アリの一戦など「1つずつ説明しましたよ」と笑った。キャッチコピーを付けて、選手のモチベーションを高める姿は、箱根駅伝4連覇中の青学大・原晋監督(51)の姿にも重なる。「まねをしているわけでは、ないんですけどね。ノリも大切だと思います。明るく元気に。苦しい中にも楽しさがあるようにする」と口にした。全9人中4人が10代のチームは活気に満ち、1つの方向へ向かっていった。会社の創業100周年に花を添えた。

指揮官だけではない。2連覇とはいえ、前回大会は1着だったユニバーサルが大会8カ月後にドーピング違反が発覚したことによる繰り上がり優勝だった。主将の内藤早紀子(24)は「ゴールテープを切ったわけではない」とチームに繰り返し、言い続けた。秋前までは不調の選手もいた。その時、内藤は「(クイーンズ8シード権)も危ないんじゃないか」と危機感をあらわにしたという。本番前にチームの調子は上向いていった。

6区間のうち3区間で区間賞。すべての中継所をトップでつなぐ、文句なしの強さを示した。来年はワコール(89~92年の4連覇)三井住友海上(03~05年の3連覇)デンソー(13~15年の3連覇)に次ぐ、史上4チーム目の3連覇に挑む。

【パナソニックの区間成績】

タイム後の数字は区間順位

1区(7・0キロ)森田香織 22分15秒<1>

2区(3・9キロ)内藤早紀子 12分18秒<3>

3区(10・9キロ)渡辺菜々美<1>

4区(3・6キロ)金丸清香<19>

5区(10・0キロ)堀優花<1>

6区(6・795キロ)森磨皓(ましろ)<9>