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お国柄や国民性が随所に…W杯もう一つの楽しみ方

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 ワールドカップ(W杯)が面白いのは、ピッチの内外でお国柄や国民性が見えることだ。イングランドのDFデルフが、妻の第三子出産に立ち会うため、コロンビアとの決勝トーナメント1回戦を欠場したのには驚いた。3大会ぶりの8強進出をかけた一発勝負。祈りにも似た国民の期待が集まる中、彼は当然の権利といった感じで、家族の慶事を優先した。

イングランドのサウスゲート監督(撮影・PNP=2018年7月11日)
イングランドのサウスゲート監督(撮影・PNP=2018年7月11日)

 ロイター通信が伝えたサウスゲート監督の「人生にはサッカーより重要なことがある」のコメントは、デルフの選択が特別ではないことを表していた。英国で批判の声が上がったという報道もない。それだけ育休制度が社会に広く定着しているのだ。男性の育休取得率3%、有給休暇さえ満足に消化できない日本との違いを痛感させられた。

 1次リーグで強国アルゼンチンと引き分けたアイスランドの選手たちが、母国サポーターと手を取り合って喜ぶ姿も印象的だった。埼玉県所沢市とほぼ同じ人口35万人の小国。それだけ国民の絆も深いのだろう。テレビの番組占拠率は実に99・6%。人口の約1割がロシアに応援に駆けつけたという。小さな国でも強い連帯と熱があれば、代表チームはこんなにも強くなるのだ。

 試合後に日本人サポーターがスタンドでごみを拾う姿は、今やW杯ですっかり有名になった。今大会はベルギー戦後の日本代表チームの控室が、使用前のように清掃されていたことも世界で驚きを持って報じられた。日本人の持つ人への気遣いと配慮、規範のとれた行動が、言葉の壁を超えて世界を感動させたのだ。これも日本の特筆すべき勝利だと思った。

 91年に旧ユーゴスラビアから独立した人口400万人ほどのクロアチアが初めて決勝に進出した。あらためてW杯では経済力や政治力など何の役にも立たないのだと実感させられた。世界を牛耳る2大大国、米国と中国は出場すらできないのだ。ここにあるのはサッカーを共通言語にした究極のグローバル社会。それこそがW杯の面白さ、醍醐味(だいごみ)である。【首藤正徳】

88年入社。バトル、五輪、テニス、サッカーなどを担当。五輪は92年アルベールビル冬季大会、96年アトランタ大会を現地取材。08年北京大会、12年ロンドン大会は統括デスク。サッカーは現場キャップとして98年W杯フランス大会、02年同日韓大会を取材。現在は東京五輪・パラリンピック準備委員。

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