個人総合で首位に立つ高梨沙羅(20=クラレ)が、2回合計247・3点で6戦ぶりに優勝し、節目のW杯通算50勝に到達した。1回目に96メートルで2位につけ、2回目は最長不倒の97・5メートルをマークして逆転した。ルーマニアに渡る直前の日本4連戦で未勝利、前日28日の第11戦も2位にとどまったが、ようやく大台に届いた。スキー競技のW杯で50勝以上は12人目。18年平昌五輪金メダルを目指す女王が、W杯参戦6季目で新たなステージに上がった。

 やっと、やっと、やっと、大台に届いた。高梨は「6度目の正直」で通算50勝目を挙げた。1回目に96メートルを飛び2位で折り返した。ほぼ無風の2回目は、抜群の飛び出しから瞬時に空中姿勢を作り、最長不倒となる97・5メートル。ヒルサイズにあと2・5メートルと迫るジャンプで最後に飛ぶ好調のルンビー(ノルウェー)に重圧をかけ、逆転勝利を呼び込んだ。ようやく定位置に座り「50勝を迎えられてホッとしている。最後のジャンプはここにきて一番良いジャンプだった」と笑顔も戻ってきた。

 生みの苦しみだった。得意のはずだった札幌(14、15日)、蔵王(20、21日)の日本4連戦は2位が2度あったとはいえ、未勝利に終わり、らしさが影を潜めた。普段あまり数字を気にしないが、珍しく「日本で50勝したい」と漏らし、期待が重圧となって精彩を欠いた。