大学スポーツの環境整備や収益拡大など活性化策を議論してきた文部科学省の検討会議(座長・松野博一文科相)は8日、年間約1000億円の収入がある全米大学体育協会(NCAA)を参考に、各大学や学生競技連盟(学連)を統括する「日本版NCAA」を2018年度中に創設する目標などを盛り込んだ方針を取りまとめた。

 民間企業も参加した「産学官連携協議会」を17年度に設置し、組織の具体的な設計を進める。

 米国のNCAAは統一されたブランド戦略で、放送権料を中心に大きな収益を上げている。これに対し、日本の大学スポーツは学生の自主的な運営に頼る面が強く、大学の多くは関与が限定的。運営資金や指導者、スタッフといった人材の不足が課題となっている。

 日本版NCAAでは大学、学連などと協力しながら安定的な収入源を得る手法を模索し、収益を還元するシステムの構築を目指す。学生アスリートを対象とした学業支援や就職支援も検討する。

 松野文科相は「学生アスリートの学業環境の充実や安全性の確保などを担うものとして検討することが重要」と述べた。