世界40位の杉田祐一(29=三菱電機)が難敵を破って大会6度目の本戦出場で初勝利を挙げた。同37位で、15年大会準優勝のペア(フランス)に6-4と第1セットを先取。第2セット第1ゲーム途中で、ペアが極度の疲労を理由に棄権した。2回戦では同12位のラオニッチ(カナダ)と対戦する。ダニエル太郎(24)は敗れた。

 杉田のラッシュがペアを棄権に追い込んだ。畳みかけるようなストロークで、時間を与えず、振り回す。走らされた相手が、たまらずギブアップ。「出だしからしっかり集中した。ここでできるだけアピールしたい」と、錦織に過去2勝の難敵を退けての大会初勝利をかみしめた。

 1日夜、4強に進出した成都オープンが開催された中国・成都から帰国した。2日夜にダブルスに出場したが、「成都は標高が高く、(日本で)球の飛びをコントロールするのが難しかった」。うまくプレーできず、ストレートで敗れた。しかし、この敗戦がシングルスに生きた。ストリングスのテンション(張りの強さ)を調節し、ボールの飛びを調整。「かなりアジャストできた。昨日試合ができて良かった」と、スタートからがんがん飛ばした。

 来年1月の全豪オープンで、シード権を獲得するのが目標だ。そのためには、世界ランクで32位以内に入らなくてはならない。この日の初勝利で初の30位台も見えてきた。「来年に向けて大事なシーズン。日本の皆さんに後押しされながら頑張りたい」。7月のアンタルヤオープンで優勝して以来、後退を知らない杉田が、進み続ける。

 ◆ペア対錦織 対戦成績はペアの2勝3敗だが、その2勝のインパクトは大きい。錦織が全米オープンで準優勝した翌年の15年大会。優勝への大きな期待がかかっていた錦織と1回戦で対戦し、フルセットの末に破っている。同年の楽天ジャパン・オープン準決勝では、再び逆転勝ちした。