27年ぶりに大舞台へ戻ってきた日大は、ライスボウル通算5戦目で初黒星となった。

 1度勇退し、今季から復帰して猛練習でチームを再建した内田正人監督(62)は「点差ではなく、どれだけ頑張ったかが課題だった。監督40年、これほど一生懸命やってくれたチームはない。特に4年生は過去の日大にないくらい努力した。でなければ、負け越しからここまで来られない」と選手をねぎらった。

 昨年12月の甲子園ボウルMVP、歴代のエースと同じ10番を背負う1年生QB林大希(大阪・大正)が封じ込められた。前半のパス獲得ヤードは富士通の203に対し、わずか10ヤード。持ち味の1つであるランでも局面を打開できず、第4Qには右足首を痛めて負傷交代。内田監督は「大胆に見えて実は繊細な子。こういう試合でよくやった。(パスのずれなど)技術的なことは解決できる。彼の責任感が大きくなって、はたかれないように投げたりしていたんだろう。(大学生活の)あと3年で克服できる」と失意の司令塔を気遣った。

 大勢が決した第4Qでは、代わって出たQB室井正道(2年=大産大付)のパスからWR小倉豪(2年=大産大付)が唯一のタッチダウン。残り15秒で執念を見せた。室井が「練習で何度もやってきたプレー。林大希の分も、何が何でもという気持ちだった」と言えば、小倉は「この1年、どこよりも練習してきた。ここで終わりじゃなく、4年生が築いたものを自分たちが受け継いでいく」と誓った。

 内田監督は「できない部分を誰かが補う、誰かが教えるチームにしていきたい」。1年後のリベンジへの意気込みを問われると「はい」とうなずき「正攻法で、正面切って挑んでいきたい」と続けた。名門復活の道のりは、まだ始まったばかりだ。