東京湾の大腸菌が、1日で“消えた”!! 17日のパラトライアスロン・ワールドカップ(W杯)は大腸菌による水質悪化でスイム中止となったが、その後数値が激減。国際トライアスロン連合(ITU)の基準で最悪の「レベル4」が「レベル1」まで改善されたため、この日は予定通り行われた。

降雨によって一時的に流れ込んだ大腸菌が死滅したとみられる。日々変わる水質を受け、本番はスケジュールを柔軟に変更する可能性もでてきた。

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水質改善に、時間はかからなかった。16日午後1時のサンプルで「レベル4」となり、17日のパラトライアスロンはスイム抜きのデュアスロンになったが、同午前10時のサンプルは「レベル2」に良化。3時間後には最良の「レベル1」となり、この日未明にリレーのスイム実施が決まった。

わずか1日で改善したのは、汚染の原因が大腸菌だったから。ITU副会長でもある日本トライアスロン連合(JTU)の大塚真一郎専務理事は「強い日差しで大腸菌が死んだということ。ある程度、予想はしていた」と話した。大腸菌は真夏の太陽に弱かった。

この日、競技をした選手たちも、水質は問題ないと話した。日本の3番手、井手樹里は「臭いもなかったし、問題ない」。米国の1番手ラパポートも「スイムも含めて素晴らしかった」と言った。

15、16日のオリンピック(五輪)予選個人戦の時は、水質に問題はなかった。台風10号による豪雨で16日に水質が悪化したが、天候回復とともに急速に回復。本番の天候は予想できないが、仮に降雨が1日だけだった場合などは、スイムを中止にするのではなく、少し待てば競技ができることも分かった。

大塚専務理事は「男子ができなければ、翌日の女子と同時に。2日で行うパラを1日でやる方法もある。予備日があれば、対応できる」と話した。組織委員会の森泰夫運営局次長も「今後検討するが、選択肢としてはありえる」と応えた。交通規制の問題もあるが「選手たちにベストな環境を」と大塚専務理事。選手たちが求めるのはスイムも含んだトライ(3)アスロン(競技)だ。【荻島弘一】

◆ITUの水質基準◆ 競技水域の異なる3地点から採取し、混合したサンプルで検査を行う。大腸菌や腸球菌などの数値で4段階に評価。「レベル1」と「レベル2」の大腸菌量は100ミリリットル中250コロニーフォーミングユニット(UFC)以下。「レベル3」は250~500UFC。最悪の「レベル4」は500UFC以上で、16日は1000UFCを超えた

◆20年東京大会のトライアスロン日程 五輪は7月27日が男子個人戦、28日が女子個人戦、8月1日が混合リレー。パラリンピックは8月29日が男女運動機能障がい、30日が男女車いすと視覚障がい。