埼玉県熊谷市の商工会議所などが制作した、ラグビー日本代表プロップ稲垣啓太(30=パナソニック)の「笑わないポスター」が反響を呼んでいる。

新型コロナウイルスの影響で失われた街の活気を取り戻そうと「笑わない男」が、無表情のまま「熊谷のみんなには笑っていて欲しい」と呼び掛けるデザインで、9日までにB1サイズを100枚増刷した。

熊谷市に本拠地移転を表明しているパナソニックの協力のもと、6月末にB1サイズ200枚とB2サイズ2000枚を作った。市内の商業施設や商店街などに掲示し、斬新なデザインが好評で「街角に稲垣」などとSNSでも話題になり、小中学校などに配布するため異例の増刷となった。

熊谷商工会議所の田島清専務理事(59)は「大変ありがたいことに反響は大きく、多くの方に関心を持ってもらっている。今年はコロナ禍の影響で夏祭りや花火大会などがなくなり、消費も進まない。うつむきがちな市民の笑顔と元気を取り戻すためにも、稲垣選手が力を貸してくれて本当に感謝している」と謝意を伝えた。稲垣人気を受けて、ポスターの盗難被害も危惧されるが、この日までに被害はないという。

熊谷市はラグビー人気が高く、19年W杯日本大会の会場にもなった県営熊谷ラグビー場がある。市内では早くも第2弾ポスターへの期待が高まる中、寡黙な30歳が、ラグビータウン完全復活への一助となった。【峯岸佑樹】