約10カ月ぶりの実戦復帰となった羽生結弦(26=ANA)が103・53点で首位発進した。
2月9日の4大陸選手権(韓国)フリー以来、320日ぶり。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、シニアに転向した10-11年シーズン以降では最長ブランクとなった逆境を乗り越え、新SP曲「レット・ミー・エンターテイン・ユー」を舞った。
5年ぶりの優勝が懸かるフリーは26日に行われる。
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氷上のロックスター羽生が、コロナ禍で沈むファンの心に火をつけた。黒に金ラメが輝くジャケット風に光沢パンツでキメて、ジャンプキック。頭上で手をたたいて拍手を誘い、最後は観客席へ右腕を伸ばしてハートを打ち抜いた。新SP曲の意訳は「楽しませてやるぜ」。4回転サルコー、4回転トーループ-両手上げ3回転トーループに、カウンターからのトリプルアクセル(3回転半)も決めて場内を総立ちにさせた。
英歌手ロビー・ウィリアムスの98年のヒット曲。4季ぶりにロックナンバーを選んだ理由は新型コロナ禍の中で明確にあった。「最初はピアノ曲を探していたけど、ニュースや世の中の状況を見て、やっぱり明るい曲の方がいいなと。こんなつらい状況でも皆さんが自分のスケートを見てくださる。ちょっとでも明るい話題になればいいな」と。
思いを、アイスショー以外では初のセルフ振り付けに込めた。世界6冠「スーパースラム」達成以来320日。シニア転向後11季目にして最長の空白だった。世界選手権(3月)の59年ぶり中止やグランプリ(GP)シリーズ初欠場と次々に動機を失った中、拠点のカナダに戻れずコーチ不在の中、1人で練習し、音の取り方や手の振り方を試行錯誤した。「皆さんが見ていて呼吸できる場所、心からノリ切れる場所を考えながら」考案。そして「新プログラムを見た方々の声援を心の中で再生しながら」本番のステージに立った。
しゃがんで片足を伸ばす滑りや3回転半からの蹴り上げなど、ソチ五輪金メダルSP「パリの散歩道」を思わせる場面もあったが「もちろん自分の代名詞、ハイライトから引っ張ってきた部分はある」としつつ「このプログラム、この音に対して、どうするかを大事にした」と今を見ていた。
ジャンプの出来栄え点(GOE)は最低でも2・99点という上々の稼ぎで、唯一の100点台に乗せたが「自分は(GOEを)取ってナンボ。点数的には良い演技だったと言えない。修正したい」と理想は高い。
本人は反省したが、約10カ月ぶりに戻った氷の上からクリスマスプレゼントを振りまいた。その12月25日にSPを演じ、首位発進したのは前回優勝した5年前と同じだ。「出場すると決断したからには立ちたい」と話していた表彰台の真ん中へ。フリー曲は大河ドラマ「天と地と」。ロックもいいが、和の羽生もファンは待っている。【木下淳】
-試合を終えて
羽生 楽しめたけど、テクニカル(技術点)を伸ばし切れなかった。ジャンプは降りたんで50%はいけるなと。ただ、良かったわけではない。アップの仕方や6分間練習の配分を工夫したい。
-会場に入って観客を見た時の感情は
羽生 そういえば(コロナ対策で)声が聞こえないんだなと。残念だったけど、テレビやネットで見てくださった方は、声を出して見てくださったと感じている。楽しみながら、やりました。
-新衣装のテーマは
羽生 僕があまり言えたことではないけど、ロックっぽくロビー・ウィリアムスさんのイメージを取り入れた。
-曲に込めた思いは
羽生 そもそもの選曲は(振付師)ジェフリー・バトルさんがやってくださった。詳細を言うと、まず最初にステップが送られてきて。ジャンプは、こういうタイミングでやりたいと話して、ジェフが踊ってくれたものを基に自分のタイミングだったら、こうかなとか。いろいろ聞いたけど、全然、返事がこなかったので(笑い)。自分でいろいろ振り付けて試行錯誤しました。
-フリーに向けて
羽生 まずはしっかり回復させることが大事。すごくいい練習はしてきたと思うし、今日は点数は出ていないけど、ジャンプとしては、とりあえず全部、降りてはいる。明日もまた、しっかりまとまった演技をしたい。


