女子バタフライの津田萌咲(もえ=新潟医療福祉大2年)が新潟県新記録を連発した。50メートルバタフライは25秒52をマークして県記録(26秒25)を22年ぶりに更新。自己ベストを打ち立て、自身の持つ日本学生記録(25秒58)も0秒06塗り替えた。100メートルバタフライは57秒21で自身の県記録57秒93を2年ぶりに超えた。昨年10月に開かれた短水路の日本選手権(東京辰巳)50メートルバタフライの覇者は、持ち前のキックで圧倒的なスピードを見せた。

津田はたった1回の息継ぎでフィニッシュした。女子50メートルバタフライ。クラシックバレエで培った柔らかい足首が生み出すキックが水をとらえた。スタートから25メートルまでの水中のドルフィンキックは11回。ターンからの水中キックは14回で、15メートル地点で浮上するとぶっち切っていた。県記録(20年4月1日現在=1年ごとの公認)を22年ぶりに更新したばかりか、自身の持つ日本学生記録も塗り替える力泳だった。

「1週間前の大会(SCチャンピオンシップ)は浮き上がりも、ターンもうまくできなかった。今回、少しでもベストを更新できて良かった」。50メートルバタフライでコンマ1秒でもタイムを縮めるために泳ぎに改良を加えていた。優勝した昨年10月の短水路・日本選手権では息継ぎ3回だったが「苦しいけどタイムロスを避けるため」に1回に変更。「短い距離が得意」という言葉通りに爆発的なパワーを見せた。

100メートルバタフライでも県新記録を樹立した津田は大阪府出身。シンクロナイズド(アーティスティック)スイミングをやるために小学1年からクラシックバレエを習い始めた。小3からシンクロを始め、同時に富田林イトマンスイミングスクールで競泳も開始。近大付3年時に全国高校総体の100メートルバタフライで4位に入るなど、素質の萌芽(ほうが)を見せていた。

そんな津田は大学進学後に進化。ウエートトレーニングなどを積み、体形さえ変化させた。「自分でも分かるくらい体形が締まった。地元の友人に会うとビックリされる」という。「日本選手権(4月)の100メートルバタフライで決勝進出したい。まだ決勝に残ったことがない」。津田は県新記録更新の余韻に浸ってはいなかった。【涌井幹雄】

◆津田萌咲(つだ・もえ)2000年(平12)12月9日生まれ、大阪府出身。競泳は小3から始め、中学3年で全中出場。近大付に進学し、高校総体は3年時に100メートルバタフライ4位。4日から東京で開かれたジャパン・オープン(長水路)の50メートルバタフライは26秒67の自己ベストで7位。158センチ、54キロ。血液型O。