フィギュアスケート女子の紀平梨花(18=トヨタ自動車)は「楽しくないことも多かった」とつぶやいた。24日、ストックホルムで行われた世界選手権のショートプログラム(SP)で2位発進。上位3人が出席した記者会見で「それでも諦めずに、この日まで頑張ってきて良かったです」とかみしめるように言った。

フィギュア界で1年の集大成に位置づけられる世界選手権。2年前の初出場時はシーズン9試合目だった。だが、今季は2試合目。出場予定だったグランプリ(GP)シリーズのフランス杯は、新型コロナウイルスの感染拡大で中止になった。拠点のスイスで腰を据えて練習に励めた一方で「(成果を)出す場がないので、なかなか達成感を得ることもなかった」。待ちわびた初戦となった20年12月の全日本選手権(長野)を終えた後も、モヤモヤは続いていた。

「『また(大会が)なくなってしまうんじゃないか』と思いました。コロナに感染したくないのもあって、いろいろなストレスがたまっていた。でも、毎日の積み重ねが(今後に)出てくる。『1日やめ(た)』としないようにしました」

最終滑走の重圧の中で3つのジャンプを着氷させ、スピン、ステップで最高のレベル4をそろえたSP。リンクサイドではスイスで指導を受けるステファン・ランビエル、小学校の頃から教わってきた浜田美栄両コーチの喜ぶ姿が見えた。失いかけたモチベーションが戻ってきた瞬間だった。

「すごく先生方が応援してくださっているし、ファンの方、家族もサポートしてくれている。この場で恩返しするしかないと思っていました。私が成功しているのを見て、喜んでくださる方がたくさんいるのが一番のモチベーションです」

フリーは26日(日本時間27日)。首位アンナ・シェルバコワ(16=ロシア連盟)まで1・92点差につける。力を出し切った先には、この日以上の達成感が待っているはずだ。【松本航】