異例の予選なしで秋の公式戦初戦に臨んだ倉吉東(鳥取)が、高鍋(宮崎)に0-66で敗れた。
◇ ◇ ◇
3年間の思いを右足に込めた。45点を追う後半6分。倉吉東の主将SO坂根連は42メートル先のゴールを狙った。初得点を目指したPGは手前で沈み、唯一のチャンスを逃した。「雪の関係でキックを2~3日蹴れていなかった」。10トライを献上して敗れた試合後、大黒柱は悔しげに振り返った。
異例の初戦だった。3校がエントリーした鳥取県予選は対戦校が15人そろわず、1試合も戦わずに代表となった。15人制では本年度初めての公式戦。だが、大阪入り後に複数の新型コロナウイルス感染が判明した。選手19人だが、この日の登録は控えなしの15人。それでも前半から複数のタックルで刺さった。後半6分にはダンスが得意な1年生WTB横山が快走し、見せ場も作った。岩野竜二監督(49)は「体を張り続けてくれた。灯は消えなかった」と教え子をねぎらった。
鳥取県勢は過去花園1勝。少子化に加え、中学生年代の環境整備など、ラグビー界は多くの課題を抱える。部員不足、大量得点差…。そんな問題はグラウンドの選手には関係ない。坂根連は中学までサッカーに打ち込んできたが「全国大会に行きたかった。サッカーは(全国トップクラスの)米子北が強い」とラグビーを始めた理由を明かした。今後は受験勉強に励み「僕らができなかった(花園で)点を取ること、勝つことをしてほしい」と、夢を後輩に託した。
鳥取に戻れば、再び部員集めの日々が始まる。貴重な経験を積んだ横山は「むっちゃ楽しかったです」と笑った。花園で生まれた芽を伸ばし、たくましくなって帰ってくる。【松本航】
◆予選出場校の少ない都道府県 今大会で予選出場が2チームで初戦=決勝となったのは山形、福井、島根の3県。島根の石見智翠館が125-0で勝った相手は出雲・松江高専・平田の3校合同チームだった。また予選出場3校だったのは倉吉東が“不戦代表”となった鳥取、香川、高知、佐賀の4県。部員集めに苦戦するエリアがある背景には少子化に加えて、ラグビーが15人の多人数競技ということなどがありそうだ。


