B1仙台89ERSを振り返る-。今季、仙台は19勝41敗の東地区最下位。B1残留は果たしたが、反省と悔しさが残るシーズンとなった。日刊スポーツ東北版では藤田弘輝ヘッドコーチ(HC=37)のインタビューを今日から3回掲載。第1回は、なかなか勝利をつかむことができず思い悩む中、「みんなの存在がなかったら自分がもたなかった」とHCが振り返る選手、スタッフの存在にスポットを当てる。【取材・構成=濱本神威】

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7日の今シーズン最終、群馬戦。仙台は84-67で勝利。連敗を「7」で止めるとともに、堅守を発揮し、相手を60点台に抑える仙台らしい勝ち方でシーズンを締めくくった。藤田HCは「日本人選手が攻めてくれたのが一番の勝因」。それは今季の課題のひとつだったが「最後にバッシー(小林遥太)、ヤス(青木保憲)、ケイタ(沢辺圭太)らが、ナイナーズのやりたいバスケットを示してくれた」。この日は小林、沢辺が11得点、青木が8得点と躍動。「何よりシーズンを勝利で終えたのがすごく大きい。本当に良いチームで、僕らは良い終わり方をするべきチーム。勝利でみんなと同じ時間を共有することができてよかった」。満員のゼビオアリーナ仙台でつかんだ勝利をかみしめた。

今季で最も印象に残っている試合に3月18日三遠戦を挙げた。その日は自身が出場停止(同15日茨城戦で2度のテクニカルファウルで退場)。「会場の外から見ることしかできなくて…。落合(嘉郎アシスタントコーチ)さんを筆頭にチームがまとまって、勝ってくれたのが印象深い。すごくうれしかったです」。シーズン前半戦終了時には「勝ち切れなかった試合がすごく印象深い。京都のゲーム2(22年10月2日)や宇都宮のゲーム1(同10月14日)…」と語っていたが、今回挙げたのは自分が不在の勝ち試合。チームの強さを実感した試合だった。

シーズンを通して選手、スタッフの強さに支えられた。「『明日も頑張ろう』と思わせてくれるメンバー。10年近くHCをやっている中で今季が1番負けましたが、本当に1番と言っていいほど、このチームの一員でいることが誇らしかった。正直、今年の負け方では、みんなの存在がなかったら自分がもたなかった」。今季は41敗を喫し「9」「7」という大型連敗も経験。なかなか結果を出せない選手の姿に戦術がチームに合っているのか、思い悩むこともあった。だが、チームの支えのおかげで今季を戦い抜くことができた。

戦い続けた。連敗に加え、主力選手の負傷離脱などもあり、コーチ、選手にとっても悔しいシーズン。「それでも全員が戦い続けた。人生には良いことや悪いこと、たくさんありますが『戦い続ける』ことが最も大事だと思います」。シュートが入らなくても、ミスで流れを渡しても「仙台89ERSのバスケット」を貫いてつかんだ19勝。「大崩れはしなかったと思います。正直、僕らのタレントレベルだったら、降格圏内にいて『今日降格しました』と言われてもおかしくなかった。でも、それを上回った選手やスタッフの頑張りは本当に素晴らしいし、誇らしく思います」。B2時代から藤田HCが貫き続けた「仙台89ERSのバスケット」は、今季を経てより強固なものになった。【次回に続く】