バスケットボールBリーグ3部(B3)の香川は2日、来季から日本のBリーグでプレーする意向を示した渡辺雄太(29)に獲得オファーを出したと公式サイトで発表した。

クラブの生岡直人社長兼ゼネラルマネジャー(40)が同日、日刊スポーツの電話取材に応じ、地元出身のスター獲得へ向けた思いを熱く語った。

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-今回こうして公式サイトで「異例」のリリースを出した理由や意図について

生岡社長「渡辺選手の帰国会見での言葉が印象的だった。『次のクラブで引退までプレーするつもり』『移籍先選びの決め手は熱量』といったことを口にされていた。この2つのフレーズが、私としてはすごく心に響きました。私たちはいまB3のチームですが、“熱量”ではどこのクラブにも絶対に負けないと思ってます。その“熱量”を表現する意味も含めて今回、クラブとして公式サイトで表明しました」

-確認になるが、選手側には正式に意向を伝えているということで良いか

生岡社長「はい。具体的な日付を口にするのは差し控えますが、オファーはもう出しています」

-今季までNBAでプレーしていた選手に、B3クラブがオファーを出したことも異例なこと

生岡社長「26年からの『B.革新』によって、勝った負けたでカテゴリーが決まるわけではなくなる。売上高や入場者数で決まっていく。なので、B3だから弱いとか、B1だから強いといったことについては、正直、私はもう気にしていません」

-獲得資金の捻出については

生岡社長「そこについては、コメントは差し控えさせてください。でも、もちろんいろいろなことを考えています」

-前社長のときには、コロナ禍での運営資金確保のためにクラウドファンディングを活用したこともあった。今回も同様のことは

生岡社長「うーん。それについては、ないこともないけれど…といった感じでしょうか。少なくとも、それを第1順位として考えているわけではないです」

-『B.革新』に向けた現在のライセンス状況は

生岡社長「いわゆる『Bワン』はもうほぼ決まっています。平均入場者数などをクリアして、もうライセンスは取得しているので。その上で、最上位カテゴリーにあたるBプレミアを渡辺選手と目指していきたい」

-リリースを出したあとの反響は

生岡社長「さまざな意見がありました。『B3なのに何言っているんだ』とか、『そんなお金があるのかよ』といった声も目にしました。でも、香川県民の皆さんは全員ポジティブです。この1年間、最後はプレーオフで敗れてしまったものの、盛り上がりを肌で感じてくださった。それをさらに大きくしていけるということで、賛成の声や期待していただく声は多いと感じています」

-渡辺選手獲得には、多くのクラブが手を上げるはず。勝算は

生岡社長「決して高いとは思ってはいません。やはりいろいろな要素があったうえで、決断されることになると思うので。ただ逆に、可能性がないとも思ってはいない。可能性がなければオファーはしないので。先ほど申し上げたように、どのクラブにも負けないのが熱量。これに関しては、香川ファイブアローズ、そして香川県の熱量が絶対に1番だと思っています。なので、渡辺選手が熱量について言及した以上、私たちは絶対に手を上げるんだと決めました」【奥岡幹浩】

◆香川ファイブアローズ 2005年11月に設立。06-07シーズンから「高松ファイブアローズ」としてbjリーグ加入。Bリーグに参入した16-17シーズンから現クラブ名となった。愛称は、平安時代末期の源平合戦で、現在の高松市内を舞台とした屋島の戦いにおいて、那須与一が矢で扇の的を射抜いた故事に由来。チームカラーはアローズイエロー(黄)と瀬戸内ネイビー(濃紺)。前者は、県の象徴である金毘羅山、うどんのだし、小麦畑、瀬戸内の朝日などの「黄金色」をイメージ。後者は瀬戸内の穏やかで寛大な海の色にちなむ。