アンガールズ田中卓志 負い目がモチベーション 「キモカワイイ」とは別の顔

【番記者裏話】スクープや芸能界の最新情報を求めて現場を駆け回る芸能記者が、取材を通じて感じた思いをつづります。

番記者裏話

佐藤成

お笑いコンビ、アンガールズ田中卓志(46)はデビュー当時から、「キモカワイイ」などといったイジられキャラの印象が強かったが、近年はお笑い賞レースの審査員をやったり、事務所のお笑い養成所で講師をしたりと、やや違うポジションを担うことも増えてきた。

出身は広島大であり、もともとインテリのイメージがゼロではなかった。しかし、ここまで「先生」的な立ち位置ではなかった。きっかけは何なのか。

田中は「もともと(教えるのが)得意とかっていうことはなかったんですけど」と断りつつ「(テレビ東京系)『にちようチャップリン』っていう番組でネタの講評、審査員みたいなのをやってもらえませんかってオファーがあって、審査員はちょっと偉そうで嫌だなって思った。でも(ネタの)いいところは言えるなって思って。番組で人のネタ見て『ここがすごくいい、なんでウケないかわからない』っていったら、内村(光良)さんが『田中がネタ語るの面白いね』って言ってくれて。それがきっかけ。あとはAマッソにバラエティーについて話すYouTubeが跳ねたみたいなのとか」。

さらに「(テレビ東京系)『ゴッドタン』で『勝手にお悩み先生』っていうコーナーで、芸能界の人に勝手に『あなたはこう悩んでいる』って言って、勝手に解決するっていうのをやらせてもらったり。なんか気づいたらそういうことをやらせてもらえる番組が増えた」。そんな田中の活躍ぶりが4月から始まった初のゴールデン帯の冠番組、フジテレビ系「呼び出し先生タナカ」(日曜午後9時)につながった。「いろんなスタッフさんに感謝ですね」。

田中は、名門大学卒業後、大学院の進学を蹴って、お笑いの世界に飛び込んだ。上京直後は、所属する事務所に自分たちを売り込むも、なかなかうまく進まず、悩んだこともあったという。当時のモチベーションは何だったのか。

「とにかくぼくは広島大学入って、ちゃんと就職していないっていう負い目があった。だから親にもお笑いやるって黙って上京してきた。なんとか早く売れなきゃなっていう。まず事務所に入らなきゃなっていうのがモチベーションになっていた。その恥ずかしさ。これで売れなかったら、全てが水の泡っていうか。だからそこがモチベーションですかね、一番」。

田中は、上京して現在の相方・山根良顕(46)とコンビを組んで、事務所に所属するまでに約1年かかったという。上京当初、別コンビを組んでいた山根は、あまりにもうまくいかない現実に絶望して、1度広島に帰っている。田中は、就職活動をしようという気にはならなかったのか。

「(東京に)来たからには一切、そこ(就活)している場合じゃないかなって。もちろんお笑いは好きだからネタを書くのは、別にウケてはないけど、モチベーションはあって。ただ反応がないっていう。30(歳)くらいまでこのペースでやって受からなかったらお笑い以外を考えるかなっていう感じでしたね、その時の気持ちは」。

所属事務所が決まるも、まだ売れていない頃、地元の友人と東京で会ったことも明かしてくれた。

「1回会いましたね。(自分が)お笑いやっているって言ったんですけど、テレビに出られていない時だったので、『やばいんじゃないの?』『そろそろ見切りつけなきゃいけないじゃいけないの』って話になった。おれ的にはライブに出られているだけで前進がゼロじゃないから、ちょっとでも進んでいるなって思っていて『もうちょっとやってみる』って言ったような覚えがあります」

イジられOK。インテリキャラOK。司会OK。今や「無双状態」の田中にも苦労があった。理系出身らしくものごとを整理して、分析する。何も考えずに運に身を任すのではなく、論理的に、着実に進化を続ける姿勢が今の田中を作りあげていた。