チーム郷、悲願の初制覇/ルマン24時間
<ルマン24時間耐久レース>◇決勝◇12、13日◇フランス・ルマン、サルテ・サーキット(1周13・650キロ)◇参加48台◇晴れ
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荒聖治が腕を突き上げてゴールするチーム郷のアウディ(左)(AP=共同)
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チーム郷(荒聖治、クリステンセン、カペロ)が初優勝した。
日本人ドライバーの優勝は9年ぶり2人目。日本のチームの優勝は13年ぶり2度目。
オーナーは郷和道、優勝ドライバーは荒聖治(30)。オーナーもドライバーも日本人という組み合わせでは初の快挙となった。
チーム郷は序盤のスピントラブルで出遅れた。チーム郷の郷和道オーナー兼監督が「2秒ずつでもセーブしていけば逆転できると思った」と振り返る通り、徐々に順位を上げた。15時間経過の13日午前7時(日本時間同日午後2時)すぎ、アウディ・S・UK(ハーバート組)をとらえ、首位に浮上した。その後2位と同一周回差の接戦を繰り広げ、逃げ切り優勝した。24時間で379周、約5200キロを走った。2位もアウディ車のベロックス(英国)だった。郷オーナーは99年から参戦し続け、昨年は総合4位で表彰台を逃しただけに感無量の様子だった。
ドライバーの荒の安定した走りが光っていた。午後1時半に3度目のコックピットについたとき、ベロックスとの差はわずか1分前後。重圧をはねのけ、「セットアップには満足している」と信じるマシンで猛追を振り切った。
1991年には外国人ドライバーを擁したマツダが伝統の耐久レースを制覇し、95年にはマクラーレンの一員で関谷正徳が優勝した。だが日本人ドライバーが日本籍チームで勝つのは初めて。しかもチェッカーフラッグを受ける栄誉まで味わった。
車はアウディR8。ドライバーのトム・クリステンセン(デンマーク)、リナルド・カペロ(イタリア)の2外国人は昨年ベントレーで優勝し、今季新たにチーム郷に加わった。クリステンセンはルマン5連覇。自己の持つドライバーの最多連続優勝記録を更新し、優勝回数もジャッキー・イクス(ベルギー)と並ぶ史上最多とした。カペロは2連覇となった。
また、チョロQがクラス2位に入った。
◆ルマン24時間耐久レース決勝成績◆ |
順 |
チーム |
ドライバー |
マシン |
周回 |
1 |
チーム郷 |
荒聖治組 |
アウディR8 |
379 |
2 |
ベロックス |
ハーバート組 |
アウディR8 |
379 |
3 |
チャンピオン |
レート組 |
アウディR8 |
368 |
4 |
ペスカロロ |
コマス組 |
ペスカロロ・ジャッド |
361 |
5 |
ベロックス |
マクニッシュ組 |
アウディR8 |
350 |
7 |
HOLLAND |
金石勝智組 |
童夢・ジャッド |
341 |
12 |
チョロQ |
黒沢治樹組 |
ポルシェ911 |
322 |
19 |
HOLLAND |
ファーマン組 |
童夢・ジャッド |
313 |
27 |
ヴェルテール |
寺田陽次郎組 |
WR・プジョー |
270 |
− |
KONDO |
道山龍組 |
童夢・無限 |
リタイア |
− |
ザイテック |
下田隼成組 |
ザイテック |
リタイア |
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荒聖治が乗るアウディR8(AP=共同)
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チーム郷がゴールまで残り3時間となった午後1時(日本時間同日午後8時)の時点までリードを守った。
約半周遅れの2番手でベロックス(英国)が追っている。
ほかの日本勢はチョロQが15番手。
日本人ドライバーの所属チームは、金石勝智のレーシング・フォー・ホランド(オランダ)が8番手に浮上し、寺田陽次郎のラシェル・ベルテール(フランス)は28番手。
レースは18時間が経過し、チーム郷が首位に浮上し、リードを守っている。2番手は約半周遅れのベロックス(英国)。
ほかの日本勢はチョロQが17番手、KONDOレーシングはエンジンと変速機の結合部に亀裂が入ってリタイアした。
日本人ドライバーの所属チームは、金石勝智のレーシング・フォー・ホランド(オランダ)が11番手、寺田陽次郎のラシェル・ベルテール(フランス)は29番手。下田隼成のザイテック(英国)はエンジントラブルでリタイアした。
14時間が経過した13日午前6時30分(日本時間同日午後1時30分)、6番手を走っていたKONDOレーシング(童夢・無限=道上龍組)がルーティンのピットイン直後、再始動できずガレージに入れらた。1時間以上に渡り修理を試みるが、近藤監督の判断でリタイアを決断した。
更に午前7時(日本時間同日午後2時)前、4番手につけていたダラーラ・ジャッドが単独スピンし壁に激突、リタイアした。
午前7時(日本時間同日午後2時)すぎ、首位をキープしていたアウディ・S・UK(ハーバート組)がサスペンションのジョイント部分の修理に5分以上を要し、その間に2番手のチーム郷が首位に浮上した。
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優勝候補のベロックスの2台のアウディ(手前)(AP=共同)
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レースは12時間が経過し、トップはアウディ・S・UK(ハーバート組)がキープ、チーム郷は1周遅れの2番手、KONDOレーシングは遅れをばん回し、6番手まで順位を上げている。
KONDOレーシング(童夢・無限=道上龍組)はリタイアした。
チーム郷(アウディ=荒聖治組)は、2時間経過で4番手、3時間経過では2番手まで徐々に順位を上げている。
一方、純国産体勢2年目の近藤真彦監督率いるKONDOレーシング(童夢・無限=道上龍組)は一時は3位まで順位を上げるも、スタートから3時間を超えた頃から駆動系にトラブルが発生し、23位と大きく順位を後退させた。
2時間を経過する直前に2番手のベロックス(英国)と3番手のチャンピオン(米国)が接触し、上位の順位が入れ替わった。
トップはベロックスのもう1チームで変わらない。日本勢はKONDOレーシングが上位に浮上。序盤でのコースアウトで大きく後退したチーム郷にも、再びチャンスがめぐってきた。チョロQは40番手前後。
日本人ドライバーの所属チームは、金石勝智のレーシング・フォー・ホランド(オランダ)が7番手、下田隼成のザイテック(英国)が9番手、26度目出場の寺田陽次郎のラシェル・ベルテール(フランス)は24番手。
レース開始から1時間もたたないうちに、チーム郷をトラブルが襲った。
ベテランのカペロがステアリングを握っていた8周目序盤のカーブで、マシンがスピンしてコースアウト。砂利の緩衝帯からけん引車に出してもらって復帰したが、大きくタイムをロスして中位まで後退した。
予選で4番手の好位置につけ、優勝も視界に意気込んで臨んだ今大会。レースが始まったばかりで取り返すのに十分な時間があるのが救いだが…。
赤、白、青のフランス国旗が振られたスタート後の1周で上位の順位がめまぐるしく入れ替わった。
ベテランのカペロが最初にステアリングを握ったチーム郷は、すかさずザイテックを抜いて3番手に浮上。しかし6番手から激しくチャージしたチャンピオンに抜かれ、元の4番手に落ち着いた。
加藤で出発したKONDOレーシングは、1つ順位を下げて8番手に。初夏の白い雲が浮かぶ好天の下、長丁場の戦いが始まった。
12日午後4時(日本時間同日午後11時)スタートした。通常は各チーム3人が交代で24時間走り続ける。
参戦8年目で初の表彰台を狙うチーム郷(アウディ)が3分34秒038で公式予選4位の好位置につけた。ドライバーは荒聖治と新加入の外国人ドライバー2人。
ポールポジションはアウディ・S・UK(アウディ)のハーバート組。
外国人ドライバー2人と下田隼成のザイテックは予選3位と健闘。近藤真彦監督が率いるKONDOレーシング(童夢・無限)は加藤寛規、道上龍、福田良の布陣で7番手スタート。26度目の挑戦となるベテランの寺田陽次郎もフランスのラシェル・ベルテールから出場。
チーム郷が4位/公式予選2日目
ルマン24時間耐久レースが10日(日本時間11日)、フランスのサルテ・サーキット(1周13・650キロ)で公式予選2日目を行った。参戦8年目で初の表彰台を狙うチーム郷(アウディ)が3分34秒038で4位の好位置につけた。ポールポジションはアウディ・S・UK(アウディ)のハーバート組。近藤真彦監督が率いるKONDOレーシング(童夢・無限)は初日の10位から7位に順位を上げた。
◆ルマン24時間耐久レース予選2日目成績◆ |
順 |
チーム |
ドライバー |
マシン |
タイム |
1 |
アウディ・S・UK |
ハーバート組 |
アウディR8 |
3分32秒838 |
2 |
アウディ・S・UK |
マクニッシュ組 |
アウディR8 |
3分33秒233 |
3 |
ザイテック |
下田 隼成組 |
ザイテック |
3分33秒923 |
4 |
チーム郷 |
荒 聖治組 |
アウディR8 |
3分34秒038 |
5 |
ペスカロロ |
コラール組 |
ペスカロロ・ジャッド |
3分34秒252 |
6 |
チャンピオン |
レート組 |
アウディR8 |
3分34秒927 |
7 |
KONDO |
道上 龍組 |
童夢・無限 |
3分36秒285 |
8 |
HOLLAND |
金石 勝智組 |
童夢・ジャッド |
3分36秒353 |
9 |
ロールセンター |
ショート組 |
ダラーラ・ジャッド |
3分39秒260 |
10 |
HOLLAND |
ファーマン組 |
童夢・ジャッド |
3分40秒261 |
30 |
ヴェルテール |
寺田陽次郎組 |
WR・プジョー |
4分05秒852 |
37 |
チョロQ |
黒沢 治樹組 |
ポルシェ911 |
4分12秒949 |
チーム郷は3番手/公式予選初日
今年はワークスの出場がなく混戦模様の中、日本期待のチーム郷(アウディ)が3分35秒169で3番手につけた。昨年は惜しくも総合4位に終わったが、参戦8年目の今年は念願の表彰台へ好スタートを切った。監督に専念の近藤真彦率いるKONDOレーシング(童夢)は10位だった。10日に公式予選2日目、決勝は12日午後4時(日本時間同日午後11時)にスタートする。
・2003 ルマン24時間耐久レース
- ◆ルマン24時間耐久レースと日本人
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ルマン24時間耐久レースは1923年に第1回大会が開催された。戦争による中断を挟み、今年で72回目を迎えるモータースポーツの世界3大レースの1つ。
日本車では、91年にマツダ車が初優勝。日本人としては95年、関谷正徳がマクラーレンF1GTRで初制覇した。
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- ◆チーム郷
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チーム郷(郷和道オーナー兼監督)は99年から参戦し続け、昨年は総合4位で表彰台を逃した。最後の挑戦となる今回、初優勝を目指す。
車はアウディR8。ドライバーは、荒聖治(日本)とトム・クリステンセン(デンマーク)、リナルド・カペロ(イタリア)の3人。荒聖治は02年からチーム・郷で走っているが、昨年ベントレーで優勝した2外国人が今季新たに加わった。クリステンセンはルマン4連覇中でカペロは昨年の優勝ドライバーと実績も申し分ない。
チーム・郷が優勝すれば、オーナーとドライバーが日本人という初の快挙となる。
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