男子100バタフライ(視覚障害S11)で、木村敬一(27=東京ガス)が1分1秒45のアジア新記録をマークして優勝した。

 4つのメダルを獲得したリオデジャネイロ・パラリンピックから1年余り。4年に1度の大舞台の翌年にもかかわらず、木村はハイレベルなパフォーマンスを維持し続けている。今年、同じクラスに突然出現したライバル、富田宇宙(28=日体大大学院)の存在があるからだ。

 今大会、木村と富田は100メートル自由形、同バタフライに出場した。両種目とも木村が制し、富田が2位。日本男子の視覚障害クラスを2人でリードしている。

 3歳から水泳を始めた富田は、高校時代に網膜色素変性症にかかって徐々に視力を失った。12年から障がい者水泳に転じたが病気は進行し、今年7月にはS13からより重いクラスのS11に変更になった。皮肉だが、病気の悪化にともなって記録が世界レベルに浮上。9月のジャパンパラでは400メートル自由形でアジア新記録を連発している。

 「100の自由形では、富田選手と世界水準でいつも勝負ができる。河合純一さん(現日本身体障がい者水泳連盟会長)が引退されて以来、なかったことです。すごく刺激的で、いつもビクビクしながらレースしてますよ」と、木村もお互いを高められるライバルと認めている。

 来年10月のアジアパラ競技大会(ジャカルタ)、19年の世界選手権を経て20年東京へ。木村と富田の戦いはますますヒートアップしていきそうだ。【宮崎恵理】