車いすテニスの男子世界王者、国枝慎吾(36=ユニクロ)が28日、千葉市内で行われた、自らが発起人となった無観客での非公式大会「橋本総業チャレンジテニス」に出場。

9月に行われる全米オープン(ニューヨーク)が、新型コロナウイルス感染対策で、1度、車いすテニスの開催を中止したことに、一定の理解を示した。

同大会は、選手から「差別だ」との批判を受け、一転、方針を転換し、開催を発表している。しかし、国枝は「市場やマーケティングを考えれば、車いすテニスはまだお客さんは多くない。(大会の)人数を減らしたいという意図は理解できたし、僕は差別だとは思わなかった」と話した。

逆に中止で「ちょっとほっとした部分もあった」という。一般のテニスの日本選手と同様、米国での新型コロナウイルス感染拡大に大きな不安を抱いている。「全米への参加は、これから考えたい」と、まだ決めかねている。

鍵を握るのは、やはり世界ランキングだ。車いすテニスの世界ランキングは国際テニス連盟(ITF)の管轄で、これがどうなるのか決まっていない。ランキングのポイントがつくなら「来年のパラリンピックのシード権とかも関わってくるので、出場する気ではいる」。

車いすテニスの世界ツアーは、まだ再開がはっきり決まっていない。ただ、一般のテニスの世界ツアーに比べて、4大大会以外は規模は小さい。感染症対策に割く財源も不足しており、国枝は「グランドスラム以外は、今はまだ出る気がしないというのが率直な気持ち」と、正直な気持ちを明かした。【吉松忠弘】