もったいない同国対決は、無気力試合の余波-。

 世界ランク12位の山口茜(19=再春館製薬所)が同4位と格上のラチャノック・インタノン(タイ)を21-19、21-16と2-0で下し、準々決勝進出を決めた。同6位の奥原希望(21=日本ユニシス)もペ・ヨンジュ(韓国)に21-6、21-7と圧勝し、8強入り。次は4強をかけ、山口と奥原が対戦することになったが、この早期対決には12年ロンドン五輪での騒動が尾を引いていたようだ。

 女子ダブルス準決勝での同国対決を避けたい中国、韓国のペアが1次リーグ最終戦で意図的なミスを繰り返した。続く別の韓国ペアとインドネシアのペアによる試合も互いに安易な失点を繰り返したため問題に。結局は決勝トーナメント前に「無気力試合」として4組が失格処分になっていた。

 このような意図的な操作を繰り返さないため、今大会では措置がとられたようだ。日本代表の舛田圭太コーチによれば、「無気力の影響で今大会から(シード選手を配置する)1次リーグの抽せんがランダムになった。ロンドンの時は同国の選手は決勝リーグで別のヤマになるように配慮されていたはずです」と説明した。

 思わぬ「余波」となったが、対戦する2人は自然体そのもの。それぞれの試合を終えると、奥原は「それぞれいろんな人の思いを背負ってここの場に立っているので、それぞれがベストパフォーマンスを出して、ガチンコでぶつかり合えたらいいなと思います」、山口は「1度も勝ったことないですし、まあ楽しく、後悔しないようにやれればいいです」と述べた。選手村では同部屋の2人。過去の対戦成績は奥原が6戦6勝。すべてストレート勝ちしている。

 ◆無気力試合VTR

 ロンドン五輪の女子ダブルス1次リーグ最終戦で起きた。まずD組で世界ランク2位の中国ペアが1位進出を逃し、準決勝での同国対決を避けたいA組の王暁理・于洋の中国ペアが2位狙いに作戦変更。意図的なサービスミス、ラインオーバーを繰り返した。対戦した韓国も2ペアが勝ち残っており、両ペアはベスト8で対戦する可能性があったため、同じくミスで応酬する泥仕合。試合は25分足らずで終了し、最多ラリー数は4回だった。審判の「真面目にやれ」という忠告に従わず、スタンドから大ブーイングが起きた。試合は韓国が2-0(21-14、21-11)で1位進出。韓国のコーチは「先に仕掛けたのは相手の方」と非難し、于洋は「無駄なエネルギーを使う必要はない」と暗に敗退行為を認めた。続いてC組の韓国ペアとインドネシアのペアによる試合も、互いに安易な失点を繰り返す無気力プレーが続き、韓国が2-1(18-21、21-14、21-12)で勝った。