陸上男子やり投げの横堀雅孝(22=大阪教育大卒)が、新潟アルビレックスランニングクラブ(RC)に新加入して、夢へのスローを決める。現在の自己ベストは75メートル05だが、今季の目標は80メートルの大台。一気に東京オリンピック(五輪)の参加標準記録85メートルの突破と夢舞台出場を狙う。

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明るい表情の中に、喜びと決意がみなぎっていた。新型コロナウイルス感染拡大で日常生活と練習は制約されているが、新潟アルビレックスRC加入で、練習に集中できる環境を手に入れた。「自分的には今まで満足な練習を積んでいない。『走って投げる』やり投げの技術は奥が深い。多くの練習が必要な種目だけど、自分は練習が好き。楽しいです」。

学生時代は故障が続き、満足な練習ができなかった。和歌山・田辺高2年では左ひざ膝蓋(しつがい)骨を骨折。高校3年の国体で4位入賞した直後に左ひざ半月板を「割った」。大学3年の時には右肩腱板(けんばん)を損傷した。だからこそ、新天地では練習に集中する。「技術的なレベルが低い。やりに真っすぐ力が伝わっていない」とじっくりと技術を磨くつもりだ。184センチ、103キロと体格に恵まれ、パワーは十分なだけに、力と技術がマッチすれば「今季の目標の80メートル越え」も決して夢ではない。

練習メニューは自分で考える。大学時代は自身のブログ「横堀雅孝のやり投げトレーニングブログ」にトレーニング法を公開していた。「高校生から質問がよく来る」と言う。大阪教育大卒で中高の保健体育教員免許をすでに取得済み。自分の練習のほかに、開志国際陸上部の外部コーチとして投てき部門の指導を行う。現在は休止中だが、部活動が再開すれば、陸上漬けの毎日となる。

高校時代は、海外の一流選手の動画を見て「投げ(スロー)」の研究をした。好きな選手は04年アテネ、08年北京五輪連覇を果たしたアンドレアス・トルキルドセン(ノルウェー)。「すました顔で90メートルを投げる。技術は参考にしています」と言うが、横堀の投てきは正反対だ。「自分はアドレナリン、ガンガンで投げる」。自己記録は75メートル05。「東京五輪(に出場したいと)は、まだまだ言えないと思っていた。しかし、延期になって不謹慎だがチャンス。(目標は東京五輪)出場です」。みなぎるパワーで、大きな目標をつかみ取る。【涌井幹雄】

◆横堀雅孝(よこぼり・まさたか)1997年(平9)9月25日、和歌山県出身。田辺-大阪教育大。小学校の6年間は軟式野球で強肩の三塁手。田辺中3年でジャベリックスロー(やり投げの前段階の種目)を始め、同年10月のジュニア五輪で全国大会初出場3位。高校3年のインターハイ5位。昨年の関西学生陸上(2部)で自己記録の75メートル05をマークして優勝。同年の日本選手権6位。184センチ、103キロ。