バドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(25=NTT東日本)が6日都内で記者会見を開いた。1月マレーシアでの交通事故後、同15日に成田空港に帰国して以来、約2カ月ぶりに公の場に姿を見せた。

会見場にスーツ姿で登場した桃田は報道陣を前にあいさつ。「復帰する際、サポートや激励をしてくれた人に感謝します」と話した。

事故当時は「不安で何とも言えない状態だった」という。病院で付き添ってくれたスタッフの顔を見て「すごく安心した」と振り返った。

「正直、コートに戻って練習するときは怖さがあった。治っていないとか…。今はしっかり見えている。楽しいです。今はもっともっとうまくなりたい。純粋な気持ちで練習できている」と話した。

桃田は帰国後、都内で精密検査を受け、異常なしと診断されたことから2月3日に代表合宿に参加。4日、代表合宿中にシャトルが二重にぶれて見えるなどの異変を訴え、7日に右眼窩(がんか)底の骨折が判明。8日に手術を受け、13日に退院後は静養を続けていた。2月29日にチームの全体練習に参加し、現在はリハビリを続けながらチームの練習メニューをこなしていた。

東京五輪出場を確実にしている桃田は、今後しばらくはチームで練習を行い、5月以降の復帰を目指す。

 

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★桃田事故からの経過

▼20年1月12日 マレーシアマスターズで優勝。

▼13日午前5時ごろ 桃田、日本ユニシス平山コーチ、森本トレーナーらが乗った車が、クアラルンプール空港に向かう途中で追突事故に巻き込まれる。運転手は死亡。桃田はあご、眉間、唇裂傷、全身打撲で病院で手当てを受け、そのまま現地の病院に入院。

▼14日 病院で検査を受け、翌15日の帰国が決定。日本協会銭谷専務理事が都内で会見し事情を説明。

▼15日 事故に遭った3人と、付き添っていた男子シングルス中西コーチが帰国。桃田は検査のため、そのまま都内の病院に入院。

▼17日 異常なしと診断され退院し、静養。

▼20日 インドネシアマスターズから帰国した朴監督と中西コーチが都内で会見し、当時の様子を語る。

▼2月3日 都内で日本代表強化合宿に参加。

▼4日 練習で「シャトルが二重に見える」と異様を訴える。

▼5日 代表合宿離脱。

▼7日 病院で検査を受け右目眼窩(がんか)底骨折で全治3カ月と診断さ。

▼8日 手術を受け、そのまま入院。

▼13日 退院し静養。

▼29日 NTT東日本での練習に参加。

 

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◆東京五輪への道 桃田の出場は確実になっている。出場枠は昨年4月末から1年間の国際大会で得たポイント(P)によるランキング(出場したワールドツアーのうち、獲得ポイントの高い10試合の合計)で争われる。男子シングルスで1カ国最大2枠を得るには、16位以内に2人が入っていることが条件。世界ランキング1位の桃田は19年5月から11戦に出場し8勝で10万5968Pで1位。2位に大差をつけており、すでに16位以内と日本勢1番手を手中にしている。

 

◆桃田賢斗(ももた・けんと)1994年(平6)9月1日、香川県三豊市生まれ。小学2年から競技開始。福島・富岡高3年の12年世界ジュニアで日本人初優勝。15年世界選手権3位。同年スーパーシリーズ・ファイナル(現ツアーファイナル)で優勝。16年4月に違法賭博問題が発覚。18年1月、出場停止処分から日本代表復帰。8月の世界選手権で男子シングルス日本人初V。9月に世界ランキング1位に。19年8月世界選手権連覇。12月のツアーファイナルも制し、年間11勝で東京五輪出場も確実に。家族は両親と姉。175センチ、68キロ。左利き。血液型A。