「オージー・スピリット(オーストラリアの魂)」の愛称を持つ女子ソフトボールのオーストラリア代表が6月1日、東京五輪の延期後では出場するオリンピアン第1号として来日する。合宿地となる群馬・太田市では万全のコロナ感染対策を持って受け入れる。宿泊地の太田ナウリゾートホテルではすべての接触を排除する“アンタッチャブルなおもてなし”を徹底させる。

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地上10階77室のホテルだが、2フロアをオージー・スピリットの宿泊専用階として、アリの入るスキも与えない計画を練っている。コロナの影響で使用機会のなくなった低層階の宴会場には、事前にオーストラリアから届いた筋トレ器具をセットしており、常にトレーニングに集中できる特訓ルームの準備もできた。

本国でワクチン接種を2回完了した選手23人ら計約30人のチームは毎日PCR検査を受けながら滞在。市内の移動も練習場とホテルの往復だけだ。ホテルのエレベーターは常時4人しか入れないように床に4足分の靴跡シールを貼り付けて、その上に立つように設定。一般客も滞在するが、選手らがエレベーターに乗っていた場合、乗らないようにチェックインの際に要請し、選手らと接しないことを明記した張り紙などでもソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ。

担当者は「筋トレルームとした宴会場と同じ階に専用食堂も設置した。選手には申し訳ないがその低層階までは階段を使用してもらいます。トレーニングにもなるだろうから。(他の客と接触の可能性がある)1階のフロントでも、必ずホテルスタッフが同行して、他のお客さまと接触しないようにバスまで案内します」。選手らを不特定多数の第三者と接触させない配慮を徹底させる。

選手らが、縁起を担いで太田市を選んだ。2019年9月、中国・上海での東京五輪アジア最終予選の直前強化合宿が太田市だった。市民の熱烈な歓迎を受け勇気をもらい、出場枠を獲得した。選手らの強い要望で今回も同ホテルが宿泊地となった。

出勤するホテルスタッフは毎日、市から支給されたPCR検査キットで新型コロナウイルスに感染していないかチェックし、ウイルスを持ち込まない態勢を整えた。選手らを案内するスタッフもマスク着用、手指消毒をした上で手袋をして、乗った後のエレベーターはその都度、必ず消毒をするとしている。「本当なら楽しい会話もしたいですが、無言のもてなしでお迎えしたい」と担当者は話した。【寺沢卓】