ゴルフの東京オリンピック(五輪)日本代表争いが大詰めを迎える。出場枠は男女ともに基本的に2で、男子は21日、女子は28日の世界ランキングをもとにした五輪ゴルフランキングで決まる。注目は最も熾烈(しれつ)な女子の2番手争い。国内で戦う稲見萌寧(21=都築電気)らを、24日開幕のメジャー、全米女子プロ選手権での一発逆転にかける渋野日向子(22=サントリー)が追う展開。残る大会の予想獲得ポイントなども踏まえ、考えてみた。

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誰が日の丸を背負って東京五輪を戦うのか-。最後まで目が離せない展開だ。女子は代表決定まで日米でそれぞれ3試合ある。日本勢1番手で、五輪当確の畑岡を追う2番手争いが大混戦の様相だ。現在2番手の稲見と3番手の古江は国内ツアーに専念し、残る3試合に出場予定。一方、4番手の渋野は代表決定前最後の大会のメジャー、全米女子プロ選手権のみの出場予定。まさに一発大逆転を狙う展開だ。

稲見から渋野まで、世界ランキング決定の基準となる平均ポイント差は約0・37と僅差。加えて国内とメジャーでは、反映される獲得ポイントに大きな差がある。メジャー優勝は100ポイントが加算されるが、国内では優勝しても約20ポイント。あくまで現状の概算にはなるが、仮に21年14戦5勝と絶好調の稲見が残る3戦を全勝し約60ポイントを上積みしたとする。最高で平均ポイントは約0・9伸びる。渋野がこれを上回るには、全米女子プロでの優勝が必要になる。2位では厳しいとみられる。稲見、古江も国内で簡単にポイントを加算できるかどうかは分からないが、2人とも、なるべく好成績を挙げた上で全米女子プロの渋野の結果を待ちたいところだ。

稲見と平均ポイント0・21差につける古江にも、チャンスはある。ここまで、出場数は稲見54、渋野58よりも少ない47。ポイント計算する際、分母(=出場数)が小さいため、ポイントが上がりやすい面がある。3戦とも稲見と同等の結果でも、逆転の可能性が出てくる。国内での稲見VS古江の行方と、一発大逆転にかける渋野-。この構図で、見逃せない大詰めの3週間となる。

○…五輪代表争いで2番手の稲見は、代表決定前の残り3戦もマイペースを強調した。4月末には、日本代表ユニホームの採寸は済ませた。しかし「五輪はゴールじゃなく、今年の私の目標は1年間を戦いきること」という。19年に初シードを決め、20年はコロナ禍で14戦のみ。初体験のフルシーズンを乗り切ることを最優先に掲げた。

◆ゴルフの東京五輪出場枠 国際ゴルフ連盟(IGF)が発表する。男子は21年6月21日、女子は同28日時点の世界ランキングを基にした五輪ゴルフランキング(OGR)で決定。出場枠は60人で、基本的には各国のランキング上位2人までが選出される。ただ、OGRの上位15位までに入れば1カ国から最大4人まで出場可能。OGRでは2~4人の上限に達した国の選手はランク外となるため、世界ランキングとは順位の並びが異なる。

◆世界ランキングとは 女子はロレックス・ランキングとして06年から。約2年、過去104週(コロナ禍により現在は例外的に104週以前の大会も対象)の大会で獲得したポイントを出場数で割った平均ポイントで順位付けし、毎週更新。出場数の上限はなく下限は35。メジャー大会は1位=100ポイント加算など、獲得ポイントがあらかじめ決まっている。国内ツアーなど、その他の大会は出場選手の世界ランキングの分布などによって獲得ポイントが変動するが、21年の優勝者が獲得しているのはおおむね約20ポイント。