日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が9日、都内で定例会見を行い、東京五輪組織委員会の森喜朗会長(83)の発言について言及した。

「今回の女性蔑視とも取れる発言は、いかなる種類の差別も認めないオリンピズムの根本精神に反するものであり、極めて不適切であったと改めて強調したいと思っております。森会長もこれを認めて謝罪、撤回をされています。この発言自体の是非については改めて述べる必要はないと思っております」。発言があった翌々日の5日に同様の見解を示しており、改めて強調した。

森会長の発言などにより、五輪開催は大きな逆風を受けている。アスリートの中には、応援されない大会に出場することに戸惑う声なども起きている。

「(声は)JOCには直接届いてませんが、JOCのアスリート委員会も、アスリートの意見を集めてもらうようにお願いしている状況です。なぜ日本のアスリートは発信しないのか、という声が(世界から)あがっているのは承知しているが、私たちが選手の時は『余計なことを考えるな』『競技だけに集中していればいいんだ』という世の中の価値観だったと思ってます。それでは、その後の人生が寂しくなる可能性が極めて高い。自立した人間として世の中の動きには関心を持つべきだと思ってます。アスリート委員会はしっかりした考えを持っている方が多い。ただ、この件はアスリートが自分のために五輪をやってほしいと思われるリスクがある。発言することが1つ間違うと大変なリスクがある。いまのこの状況でアスリートに発言を求めるのは酷だと思ってます」と述べた。