【独占】根尾昂と大阪桐蔭と球友…夢は今も巡りて♪忘れがたき故郷/インタビュー後編

田村藤夫氏(63)の「プレミアムリポート」、中日根尾昂投手(22=大阪桐蔭)へのインタビュー後編では、投手に転向して抱く不安と手応え、大阪桐蔭で春夏連覇したチームメートへの思いなどを聞きました。苦楽をともにした竹馬の友、卒業から4年たっても格別な存在のようです。

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■「まだ慣れるわけがない」

田村氏さて、今年投手に転向し、投手としての秋季キャンプは今回がはじめて。シーズン通して練習はどんな感じだった?

根尾そうですね。シーズン中の中継ぎの練習を知らなかったです。(野手の時は)最初から最後まで、守備やって、バッティングやって、走塁やってという練習が常だったです。

シーズン中の中継ぎ投手は、ゲームに合わせた練習しか、基本しないですし、試合に向けて調整するという練習がメインでした。だから、より時間ができました。自分のやりたいことに集中する時間ができました。ランニングの量はもちろん、増えました。

田村氏ピッチャーの練習だけじゃ物足りないんじゃないか? そんなことはないか?

根尾ピッチャーの練習は、しんどいのは、しんどいです。ただ、シーズン中はそんなにやれないので、それほどしんどいことはないです。

田村氏しんどかったのは、この(秋季)キャンプのことかな?

根尾ヤバかったです。

◆根尾昂(ねお・あきら)2000年(平12)4月19日、岐阜県生まれ。小2から古川西クラブで野球を始め、古川中では飛騨高山ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年夏からベンチ入りし、2年春、3年春夏で優勝。4球団強豪の末、18年ドラフト1位で中日に入団。3歳から始めたスキーでは、中学2年時にアルペンスキー回転で日本一となり、世界大会にも出場した。内外野をこなし、今季途中から投手に登録を変更。今季は野手として49試合に出場し打率2割、本塁打なし、4打点。投手として25試合に登板し勝敗なし、1ホールド、防御率3・41。177センチ、78キロ。右投げ左打ち。

田村氏じゃあ、まだ慣れないな?

根尾はい、まだ慣れるわけがないと思っています。まだ分からないですし。

田村氏来年の春も同じ感じだろ?

根尾さすがに、さすがに、それはないと思います。さすがに春もあれだけのことをやったら、もうちょっと、ゲームどころじゃなくなってくると思いますので。

■「その一瞬に集中する感覚」

田村氏投手になって気持ちの持ちようなど変わったことは?

根尾打者もスタメンなら4打席で、代打だったら1打席じゃないですか。その中で、スタメンで出るための練習をしていました。それが、中継ぎなら投げても10球とかです。より限られた時間しかパフォーマンスができないですから。守備するわけでも、走塁するわけでもないですから。

その一瞬に集中する感覚は、より、中継ぎになってからは強くなったというか。試合の流れを見て、というのはもちろん、そうなんですけど。その瞬間に、しっかり自分のパフォーマンスを出せることだけに集中する、みたいな感じでしたね。

特に、転向したての時などは「ファームでやるのかな」とか、ずっと1人で考えていました。それが、1軍で敗戦処理で投げるってなってからは、絶対に抑えてやるって気持ちをより強く持ってました。

自分の体力づくりをするっていうよりかは、対バッターで、しっかり抑えることに集中して、って感じです。特によりその一瞬だけ、というわけじゃないんですけど。

田村氏来年は先発するんだろ? 体力、つけないといけないよな。練習しないといけないな。

根尾はい。やんないと。やんないといけないです。

1959年(昭34)10月24日、千葉・習志野出身。
関東第一から77年のドラフト6位で日本ハム入団。93年に初のベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。
93年オフ、巨人長嶋監督からFA移籍でのラブコールを受け(日本ハムに残留)、96年オフには、当時の王監督(現会長)から直接電話でダイエー(現ソフトバンク)移籍を決断。07年から中日落合監督に請われて入閣した。
ONと落合氏から高く評価された捕手だが、田村氏はそうした経緯について「自分から人に話すことではない」というスタンスをかたくなに守る。42年間のプロ野球生活を経て解説者に。プロ通算1552試合出場、1123安打、110本塁打。