【日本97.2%踏破】西武担当・金子真仁記者がさすらい続ける訳/連載〈1〉浦添編

旅が好きです。日本の全市区町村の97・2%を踏破済みです。その遍歴は取材を担当する西武関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、コラボの世の中。野球×旅。高尚な紀行文なんぞ仕立てられませんが、お気楽に不定期で旅してみます。題して「野球と旅をこじつける。」なんて、いかがでしょうか。今回は沖縄・浦添へ。

プロ野球

力投する西武先発の与座海人=2023年6月28日

力投する西武先発の与座海人=2023年6月28日

ベンチ裏の雑談「山、登ったんすか?」

沖縄はとにかく暑く、仮に東京で肌にまとわりつく湿気の質量を厚さ1ミリとするならば、那覇は3ミリくらい。炭酸水をひたすら注入しながら、沖縄セルラースタジアム那覇のベンチ裏に行くと、与座海人投手(27)が汗をぬぐっていた。

「行ってきましたよ」とスマートフォンの写真を見せる。

「山、登ったんすか?」

二重まぶたの笑顔は、いつもさわやかだ。

沖縄・浦添城跡より眺める浦添、那覇の街並み

沖縄・浦添城跡より眺める浦添、那覇の街並み

長すぎる雑談で練習の邪魔はしたくない。プロ野球選手は汗をふくのだって仕事だ。「あのへんなんですね。いい街だね」。ごくごく簡単な感想を口にして、グラウンドへ見送り、私はアイスを求めてコンビニへ。

プロ野球選手は全国から集まり、1つのチームになる。選手それぞれにルーツがある。せっかくの沖縄遠征。シェアサイクルで旅した。15分100円。電動機能付き。かりゆしシャツは値が張るけれど、これが琉球の正装だ。ちゃんと着て、ペダルをこぐ。

離島などへのフェリーが出航する沖縄・那覇市の泊港

離島などへのフェリーが出航する沖縄・那覇市の泊港

与座は沖縄・浦添市で生まれ育った。ヤクルトのキャンプ地として知られる。「ヤクルトだけじゃなく、ちっちゃい頃はけっこうキャンプ地回ってましたね」。毎年2月だけとはいえ、プロ野球は割と近くにあり続けた。

「ロシアやウクライナの映像、うーん…」

キャンプ地の球場より50メートル近く海抜が高い前田エリアが、与座の故郷だ。授業で習っても、少なくとも私は忘れてしまっていた事実があった。全国的には、どうだろうか。

「僕の地元、浦添の前田ってところで。けっこう激戦区で。地上戦が激しかったところで」

諸文献であらためて調べる。太平洋戦争の最中、1945年4月。米軍の大部隊は北谷町付近の海岸から上陸し、対する日本軍は首里の司令部を守るため、前田高地や宜野湾の嘉数高地などに防衛線を張った。そしてすさまじい攻防が-。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。