【西武ドラフトの記憶】83年渡辺GMから22年蛭間まで 青年15人「運命の1日」
プロ野球ドラフト会議が10月26日に行われる。候補選手たちはどんな思いで、運命の前後を過ごすのか。プロ野球選手になった先輩、埼玉西武ライオンズの選手や首脳陣が、運命の日の記憶をたどってくれました。年齢に関係なく、記憶の濃淡はそれぞれであるようで。
プロ野球
今やアマチュア選手たちを評価し、指名する立場になった渡辺久信GM(58)は前橋工(群馬)時代の83年、ドラフト1位で指名された。自分の指名の瞬間は知らない。
「見てないよ。見てるわけないじゃん。授業中だよ」
ちょうど隣にいた潮崎哲也編成ディレクター(54)が「昔はだって、ドラフト会議、午前中からやってましたよね」と懐かしむ。GMがさらに回想する。
「俺なんか製図だよ、製図。機械製図。カチャカチャってあるじゃん。製図の試験か実習か何か。ドラフトの時間になったら『お前行くと目立つから俺が行ってくるわ』ってクラスメートがテレビか何かこっそり見に行ってくれて。それで分かったよ。授業中に分かったよ」
松井稼頭央監督(48)はPL学園(大阪)時代の93年、ドラフト3位で指名された。意外な場所にいた。
「後輩の試合をみんなで応援に行ってたんですよ。日生球場に。日生球場のスタンドで、僕だけラジオ聴かせてもらって」
巨人、ダイエー、中日からも高い評価があったという。
「岡島(秀樹)が巨人3位になって。そしたら巨人の4位かなと思ってたら、ライオンズが3位。自分の名前が聞こえてきて『うわ~っ!!』ってびっくりしたね」
運命の瞬間に日生球場にいたこともあり、当日の記者会見などは「記憶にないなぁ」とのことだった。
赤田将吾1軍外野守備走塁コーチ(43)は日南学園(宮崎)時代の98年、ドラフト2位で指名された。
秋の神奈川国体では、ともに日本代表で戦った横浜・松坂大輔投手と対戦した。「感想とか聞かれましたよ。クラスメートにも記者にも。『めちゃめちゃ速かったです』って。プロ行ってもできれば対戦しなくない、って言ってました」
そして当日、松坂1位に続いての西武2位指名。
「うわ、対戦しなくて済む! って。速攻、松坂にメールしましたもんね。でもあの時はまだ横浜入りたいって言ってたので、いや絶対来いよって。僕の場合、西武でドラフト2位って言うよりも『松坂1位で僕2位です』って言った方が分かってもらえました」
野田浩輔1軍バッテリーコーチ(45)は新日鉄君津時代の00年、ドラフト6位で指名された。社会人5年目だった。
「5年、まぁ、しんどかったですよ。最初何年かは『もう無理だな』と思ってたので。同じチームにいい捕手いっぱいいたし、試合に出たら金属バットでぼこぼこ打たれたし。オリンピックの選考会があって、最後の年だけめっちゃ成績上がったんですよ」
シドニー五輪の日本代表にも選ばれ、ようやくの大願成就に。
「単純に経験積んで余裕ができただけだと思います。それまでは試合に出ても劣等感ばっかりでしたよ。ずっとやってもプロ行けなかったら、熊本の実家で農家継いでたのかな。昔はい草やってたけど、今はレタスとかをやってて」
けっこう名の知れた農家だそうだが「俺は全然ノータッチだよ」と笑った。
伊藤和明1軍ヘッドS&Cコーチ(36)は盛岡中央(岩手)時代、05年ドラフトでドキドキした。
真後ろの席がドラフト候補。野球部でともに汗を流した銀次内野手(35)だった。楽天に高校生ドラフト3巡目で指名された。
「席が廊下側で、あの日は誰かが廊下を通るたび、みんな銀次を見てきて」
日刊スポーツが撮影した胴上げなどの喜び写真に、伊藤コーチも同級生として映っていたと笑う。
「そういうのが全部終わって、寮生みんなでチャリに乗って、近くの『道頓堀』でお好み焼き食べてお祝いしました」
高橋光成投手(26)は前橋育英(群馬)時代の14年、ドラフト1位で指名された。
本文残り64% (2958文字/4635文字)

1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。
-
プロ野球【西武モーレ】なぜインドから日本に?なぜ野球?どんな人? 22歳、紳士の素顔
【西武モーレ】なぜインドから日本に?なぜ野球?どんな人? 22歳、紳士の素顔 西武は「ライオンズ海外戦略」の一環として7…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁の獅子担日記23】やっとゴールテープを切れた気がした8月31日夕方
【金子真仁の獅子担日記23】やっとゴールテープを切れた気がした8月31日夕方 西武に一つの節目がありました。栗山巧外野手…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁】栗山巧が紡いだ25年間の“証” 大歓声でなく「静寂」を選んだ応援団
【金子真仁】栗山巧が紡いだ25年間の“証” 大歓声でなく「静寂」を選んだ応援団 西武栗山巧外野手(43)がライオンズひと…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁】西武栗山巧の本質はどこにある “最後の日”に選ぶ言葉とは
【金子真仁】西武栗山巧の本質はどこにある “最後の日”に選ぶ言葉とは 西武栗山巧外野手(42)が引退試合「8・30」を迎…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁の獅子担日記22】北海道の朝のニオイ、所沢にハシゴ、横浜で受けた訃報
【金子真仁の獅子担日記22】北海道の朝のニオイ、所沢にハシゴ、横浜で受けた訃報 8月も半ばになり、シーズン残りも40試合…
金子真仁
-
プロ野球【西武3軍 夏合宿】北海道・美唄でもがく若獅子たち 沢田遥斗と新井唯斗の本音
【西武3軍 夏合宿】北海道・美唄でもがく若獅子たち 沢田遥斗と新井唯斗の本音 西武3軍が昨夏に引き続き、北海道・美唄で夏…
金子真仁
-
プロ野球【舞台裏】8月13日西武是沢涼輔プロ初打席「是ちゃん」に前のめりになった9人の証…
【舞台裏】8月13日西武是沢涼輔プロ初打席「是ちゃん」に前のめりになった9人の証言 西武是沢涼輔捕手(26)が8月13日…
金子真仁
-
プロ野球【舞台裏】左目が見えなかった中で 西武渡部聖弥を突き動かす強さ、そのひと言ひと言
【舞台裏】左目が見えなかった中で 西武渡部聖弥を突き動かす強さ、そのひと言ひと言 西武渡部聖弥外野手(23)の魂に心震え…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁の獅子担日記21】「このアオフェスのユニホームって…」隅田に質問された
【金子真仁の獅子担日記21】「このアオフェスのユニホームって…」隅田に質問された 8月です。2カ月後にはほぼ、26年シー…
金子真仁
-
プロ野球【教えて!○○選手】西武隅田知一郎投手が回答 優勝したらビールかけ最初の相手は…
【教えて!○○選手】西武隅田知一郎投手が回答 優勝したらビールかけ最初の相手は… 「教えて!隅田投手」と題し、日刊スポー…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁の獅子担日記20】このとんでもない唯一無二にもほどがある事象
【金子真仁の獅子担日記20】このとんでもない唯一無二にもほどがある事象 ペナントレースも前半戦が終わりました。あれだけ長…
金子真仁
-
プロ野球【西武横田蒼和】「やっぱりバッティングでずばぬけていかないと」日々進化する原石
【西武横田蒼和】「やっぱりバッティングでずばぬけていかないと」日々進化する原石 WBC戦士でもある中日高橋宏から本塁打を…
金子真仁
-
プロ野球【西武是沢涼輔】育成契約4年 ついにつかんだ支配下登録 会見で語った道のり
【西武是沢涼輔】育成契約4年 ついにつかんだ支配下登録 会見で語った道のり 西武が7月31日の〝期限〟を前に、支配下選手…
金子真仁
-
プロ野球【決断の背景】1年前、涙の西武是沢にかけた言葉 球団本部長が語る本音と秘めた狙い
【決断の背景】1年前、涙の西武是沢にかけた言葉 球団本部長が語る本音と秘めた狙い 西武が7月31日の“期限”を前に、支配…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁】7月30日の是沢涼輔 「とてもすごいこと」をした男が向かった先で
【金子真仁】7月30日の是沢涼輔 「とてもすごいこと」をした男が向かった先で 西武が7月31日の〝期限〟を前に、支配下選…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁】西武是沢涼輔はあの日泣いていた これまで書かなかったストーリー
【金子真仁】西武是沢涼輔はあの日泣いていた これまで書かなかったストーリー 西武が7月31日の〝期限〟を前に、支配下選手…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁】迫る期限 西武育成32人、脳内候補4人とキーマンの存在
【金子真仁】迫る期限 西武育成32人、脳内候補4人とキーマンの存在 今年も「7月末」がやってきました。シーズン中の編成期…
金子真仁
-
プロ野球【金子真仁の獅子担日記19】7月末が近づき、金田一少年ばりに頭をめぐらせ推理する
【金子真仁の獅子担日記19】7月末が近づき、金田一少年ばりに頭をめぐらせ推理する 西武は12泊13日の大遠征〝獅のロード…
金子真仁