【南九州海岸線編】「なーんもないところ」がプロ野球選手を輩出する特区/連載〈6〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・2%を踏破済みです。その遍歴は取材を担当する西武関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第6回はプロ野球選手を数多く輩出する鹿児島県大崎町など、南九州の海岸線をドライブしました。

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▼「野球と旅をこじつける」▼

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南郷→志布志→大崎町→桜島

河口にある小ぶりな鉄橋を、1両編成の日南線がスーッと走っていく。

橋の向こうには日向灘と、そこに浮かぶ小さな島々がいくつか。橋桁を額縁と見立てれば、絵画のような美しさがある。

西武のキャンプ地、宮崎県日南市南郷。その南郷と大堂津と呼ばれる港町を挟むこの景観は、九州でも屈指の美しさだと思う。

大堂津に架かるJR日南線の鉄橋

大堂津に架かるJR日南線の鉄橋

晴れ渡る絶景写真を載せたが、私が走った日はあいにくの雨もよう。でも旅をする。フェニックスリーグ取材の合間、貴重な休日。

ちょっと寄り道しようかな。南郷スタジアムに意識が向いてしまうのが、なんか職業病だ。山川穂高内野手(31)が休日返上でバットを振っているような気がする。でも行かなかった。渦中とはいえ、この日どうしても質問したいことが浮かばない。自身の労務管理も会社員の大事な仕事。そのまま海岸線へ走る。

晴れていれば、この南郷から南はかなり楽しいドライブロード。波打ち際もあれば、海を見ながらかなりの高度感を味わえる場所もある。でも雨だ。岬馬のいる都井岬に行こうと思ったけど、やめようかな。

そんな時に限って、絶妙なタイミングで球団関係者から「明日、馬の写真見せてくださいね」とLINEが入ったりする。これで「雨で面倒なので行くのやめました」と返すのは、なんか寂しい。都井岬に着いたら晴れ間も出た。

眼下に海を望む都井岬で生活する岬馬たち

眼下に海を望む都井岬で生活する岬馬たち

道路にもひょっこり現れる馬たちは、この日は小高い丘の上に群れをなしている。足元の大量のフ○またはウン○をよけながら、彼らのもとへ。近寄っても逃げない。目が優しい。

福留孝介、赤田将吾、松山竜平、浜屋将太

なんだかんだ楽しい都井岬を後にし、串間の街を過ぎれば、鹿児島県に入る。写真を載せるだけでなぜかSNSのフォロワーが一気に増えた「志布志市志布志町志布志の志布志市役所本庁・志布志支所(旧・志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所)」にも寄って、さらに西へ。

鹿児島・志布志市役所にある名物看板

鹿児島・志布志市役所にある名物看板

大崎町だ。私と同い年、西武の赤田将吾1軍外野守備走塁コーチ(43)の出身地になる。「なーんもないところですよ」。いいですね。すごくいい。都会のビル群と人波に疲れさせられるより、私は何もないほうがずっといい。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。