【舞台裏】炎天下で投手を鼓舞し続け…西武谷口朝陽の「声」は人を惹きつける

今年もとにかく暑い夏が終わりました。選手の熱中症や新たな冷涼対策もあり、西武の本拠地ベルーナドームは何かと注目を集めました。実は隣接の球場「カーミニークフィールド」の暑さも尋常ではありません。それでも行われる炎天下の3軍戦で、ある選手の声が特に響きます。なぜ、声を出すのか。谷口朝陽内野手(21)の「舞台裏」に迫ります。

プロ野球



「The Backstage」

ドラマは注目シーンだけが、見どころではありません。目立たないところにも、さまざまなストーリーが詰まっています。舞台裏で、記者が見て、聞いて、思った話をお届けします。



◆谷口朝陽(たにぐち・あさひ)2004年(平16)4月3日生まれ、徳島県出身。広陵(広島)から四国IL徳島に進み、23年育成ドラフト2位で西武入団。投手だったが、内野手として指名された。1年目の昨季は2軍戦出場なし。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸280万円。


外野守備から投手を大声でもり立てる西武谷口(撮影・金子真仁)

外野守備から投手を大声でもり立てる西武谷口(撮影・金子真仁)


「森脇さん頑張れ~‼」響きわたる甲高い声


8月20日、昼下がりのカーミニークフィールド。暑い。試合前から滝の汗。

スポーツドリンクもみるみるうちに減り、また買い足そうかと思うけれど、自販機まで歩くのも面倒。それより日陰に行きたい。

1軍の福岡遠征には行かず、森脇亮介投手(33)に今の思いを聞きたくて、3軍戦の現場に来た。

リリーフで森脇が投げる。独特のカクカクしたフォームが少しシンプルにそぎ落とされた感じで、懸命に球速を求めている姿が、投球練習の時点から伝わってくる。

鍛錬ともがき。1軍にも2軍にもない空気感が、3軍にはある。いつの間にか2軍戦よりも3軍戦を多く見ている気がする。

それにしても暑い。スポーツドリンクの飲み過ぎも良くないから、強炭酸を注ぐ。浴びるように飲む。ボーッとしていると、1つの声が浮かび上がる。

「森脇さん頑張れ~‼」

ちょっと甲高い声だ。試合中盤からずっと気になっていた。最終回になっても響きわたる。

発信源はレフトを守る背番号126、谷口朝陽内野手(21)だった。

「ナイスボーール‼」

この暑いのに、1球1球よく声を出せるな―。他の選手たちが全く声を出していないわけではない。ただ谷口が目立つ。


打撃練習に打ち込む

打撃練習に打ち込む


3年後や5年後、西武のチームリーダーは誰?


ライオンズ担当記者として2年ぶり2度目のシーズンを過ごしている。

はざまの24年シーズン、西武は年間91敗という歴史的大敗を喫した。勝敗に追われるペナントレースを戦う一方で、チームは間違いなく発展途上にある。

3年後、5年後を見据えて生まれ変わろうとしている。ただ、チームを見ている中で1つ、明確な心配材料がある。

その3年後や5年後、ライオンズのチームリーダーは誰なのだろう。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。