【金子真仁】西武与座海人に投票できなかった記者が、山田陽翔に投票した理由
「第54回 三井ゴールデン・グラブ賞」の受賞者が11月12日、発表されました。卓越した守備の持ち主に送られる「守備のベストナイン」といえる賞。ノミネート選手の中から記者投票で決まります。私には1人、投票対象外ながら1票を投じたかった選手が―。西武のサブマリン、与座海人投手(30)です。
プロ野球
◆与座海人(よざ・かいと)1995年(平7)9月15日生まれ、沖縄県浦添市出身。沖縄尚学で13年センバツ出場。岐阜経大を経て17年ドラフト5位で西武入団。18年は1、2軍を通じて登板機会がなく、10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、19年は育成契約。同年オフに支配下登録復帰。20年6月21日日本ハム戦(メットライフドーム)でプロ初登板初先発。7月23日ロッテ戦(同)でプロ初勝利。22年に2桁10勝を挙げた。通算81試合、22勝27敗、1ホールド、防御率3・32。173センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2500万円。
ゴールデングラブ賞は記者投票で決まる。賞のホームページはこう書かれている。
「新聞社、通信社、テレビ局、ラジオ局のプロ野球担当記者として5年以上にわたり現場での取材を主に担当している記者の方々が投票で選ぶ権威ある賞の1つです」
パ・リーグでは例年、250人前後が投票資格を持つ。多くが「担当球団制」を敷くメディアの社員だ。日刊スポーツにも各球団に番記者がいる。私は西武担当。
ゴールデングラブ賞の投票結果は例年、波紋を呼ぶ。記者投票という制度自体に疑問が提起されるのも毎年のことだ。
数値での選出に変えない限りは、私は今のあり方でいいと思う。全球団の全試合を観て、全てのプレーにおけるフィールドの選手9人の動きを追うことなど、物理的に不可能だ。主観での選出になるのが現実だ。
一番難しいのがバッテリー。特に投手だ。
記者には毎日、締め切り時間がある。私なら西武の攻撃中は打者(か走者)を見るし、守備中はいろいろな動きを見ながら、やはり投手の球速やどの変化球を投げたかの作業が最優先。
投手の守備。ここに着目すると、試合報道の上で間違いなく見落としが出る。
西武投手ならまだしも、相手球団の投手の守備は注視の優先度はかなり低くなるのが現実だ。
それでもなるべく多くを見ようと試みた上で、私はパ・リーグの投手部門は西武与座に投票したかった。
だからこそ、与座が光る
沖縄尚学から岐阜経大を経て、17年ドラフト5位でプロ入りした。
ここまで通算22勝27敗、やや負けが込む。それでも10勝した22年と、6勝した今季は勝ち越した。
アンダースローだ。ただ「消える」レベルの強烈な変化球はない。球威とコントロールとリズムを工夫して、アウトを重ねる。
そして守備がいい。打球反応がいい。
「今年はけっこう、ピッチャーゴロもしっかり捕れてたかな。投げ終わりの体勢も良くて」
普通っぽいコメントだが、与座は今季「スーパークイック」を導入し、1球ごとに自分の判断でクイックするか選んでいる。
直球があればスローカーブもある。体の動き方は1球ごとに違う。その上での「投げ終わりの体勢も良くて」だ。
エラーもあった。「エスコンの、ですよね」。そう。9月15日の日本ハム戦(エスコンフィールド)だ。犠打で一塁走者を二塁でアウトにしようとし、攻めた守備をした結果、ボールが手につかなかった。
「ライン上の打球だったんですよね。一瞬の判断で迷って、ちょっと手でいっちゃって。もう1歩先に行って、回り込んで正面で捕れていれば、確実にアウトにできてたと思います」
与座のバント処理は見事だ。思い切りもあるし、動きが軽やかでスムーズ。投手陣の守備練習でも、与座の動きには「おお~」と声が上がることが多い。
原点は。
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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。
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