宇野、三原、りくりゅう!史上初3冠 「リーダー」日本にまだある伸びしろ/連盟総括

【トリノ(イタリア)=松本航】グランプリ(GP)ファイナルで日本勢は男子、女子、ペアと史上初の3種目優勝を飾りました。ジュニアGPファイナルでも女子の島田麻央(14=木下アカデミー)が優勝。最終日の11日に現地のトリノで日本スケート連盟の竹内洋輔強化部長(43)が取材に応じ、今大会の総括、今後の強化の方向性などを示しました。

フィギュア

<GPファイナルを竹内強化部長が分析>

ジュニアのペアSPで演技する村上遥奈(左)、森口澄士組(共同)

ジュニアのペアSPで演技する村上遥奈(左)、森口澄士組(共同)

ジュニアの村上、森口ペア形成はうれしかった

――ジュニア、シニアで総勢17人が出場した。総括を

竹内氏 まず北京五輪組で残ったメンバーが、こうやっていい形で次に向かってパフォーマンスを発揮してくれている。これがまず1ついいこと。次に北京(五輪代表争いで)で悔しい涙を流したメンバーが、新しい結果で続いてきてくれている。さらにそこに、ジュニアで3年間(国際大会に)出られなかったメンバーが強い意識を持って、ここまで勝ち上がってきてくれた。これまでの選手も頑張って、悔し涙を流した人たちも結果を出し、さらに次世代も続いてきて、強化が続いてきている。ただ、特にジュニアの年代で3年間出られなかったメンバーはシリーズの1戦目と2戦目、単発の(次の競技会がない)GPファイナルはそれぞれの戦い方が違う。1戦目で結果を出さないといけない。2戦目でファイナルをかけて、トライもしていく中で安全にいかないといけない。最後、何も懸かっていないファイナル。それぞれの戦い方は違う。やっぱりジュニアGPシリーズを見ても、2戦目の成績が振るわなかった選手がいた。そこは経験値の差が出ている。そこのところは選手とも「いい経験ができたんじゃない?」と話している。「同じフィギュアスケートの競技会でも、どういう位置付けで戦っていくのかの使い分けができてくるといいよね」という話をしました。

あとフィギュアは、スピードスケートとかと先駆けて2年早く組織としての新陳代謝を図ってきた。北京のところまでは、まだ我々がやりたいことをやりきれる状況じゃなかった。主にペアのところに関しては、最後にトライアウトをやったのが何年前か(手元で)分かっていないけれど、そこからしか選手が育っていなかった。「りくりゅう」にしても、市橋(翔哉)選手、柚木(心結)選手にしても、ずっと連盟のトライアウトだったり、トライアルからしか生まれていなかった。りくりゅうの2人に言われていたように「新しい道しるべ」ということで、連盟が用意した機会以外のところからも、新しい選手が出来上がってきた。アカデミー制をとったところの影響が大きいと思うけれど、そういったところとうまく協力をしながら、新しいカップルの形成の仕方が出てきたのはうれしかった。(ジュニアの村上遥奈、森口澄士組は)本当に3月から。ちょっとその前に(森口は)別のパートナーとやっていたっていうことはありますけれど、それでもこの短期間で、かつ日本の強みを生かしたカップリング。そこがうまくできて、短期間でこれだけ成果を出せるというのは、やっぱり我々の思い描いていた理想の形ではあったし、そこがこの短期間で成果が出たというのはある種、思い描いていたモデルケースを示せられたのではないかと思います。

ファイナル出場日本勢17人成績

▼男子シングル

宇野昌磨(優勝)山本草太(2位)佐藤駿(4位)三浦佳生(5位)

▼女子シングル

三原舞依(優勝)渡辺倫果(4位)坂本花織(5位)

▼ペア

三浦璃来、木原龍一(優勝)

▼ジュニア男子シングル

吉岡希(3位)中村俊介(4位)片伊勢武アミン(6位)

▼ジュニア女子シングル

島田真央(優勝)中井亜美(4位)吉田陽菜(6位)

▼ジュニアペア

村上遥奈、森口澄士(4位)

――「日本の強み」とは

竹内氏 やっぱりブルーノ(・マルコット)コーチとかも言っていたんですが3―3を跳べる、高難度のジャンプを跳べる。シングルのエレメンツができて、シングルの高いスケーティングスキルを持った状態からうまく相性の合うカップルを探していって、組ませていくというところですね。

――村上、森口組が長く続けていくために、連盟でサポートできることは

大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球などを担当。22年北京冬季五輪もフィギュアスケートやショートトラックを取材。
大学時代と変わらず身長は185センチ、体重は90キロ台後半を維持。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。