りくりゅうが優勝翌朝にスタンドにいた理由「僕たちは勉強しないといけない」

フィギュアスケートのペアで愛称「りくりゅう」こと三浦璃来(23)木原龍一(32)組が、4大陸選手権を2年ぶりに制しました。

フリー142・59点、合計217・32点でともに今季自己ベストを記録。1カ月後の世界選手権(3月24~30日、米ボストン)では、2年ぶりの優勝と26年ミラノ・コルティナ五輪の出場枠獲得がかかります。

今季は新たな振付師のもと、ミステリアスなショートプログラム(SP)と疾走感のあるフリーに挑戦。新境地を模索する中、優勝から一夜明けた22日の朝には、2人の強さの理由が垣間見えた出来事がありました。

フィギュア

優勝翌朝、アイスダンスの公式練習での光景

200ミリの望遠レンズの先に、その姿は飛びこんできた。

2月22日午前11時。会場の木洞アイスリンクでは、アイスダンス・フリーダンス(FD)の第2グループの公式練習が行われていた。

私はジャッジ席に向かって左側のコーナーのリンクサイドにいた。リズムダンス(RD)で8位だった吉田唄菜、森田真沙也組の滑りを撮影しながら、練習の様子を「コクヨ」の赤色のノートにメモしていた。

2人の曲かけ練習が始まろうとした時のことだ。右目でカメラのファインダーを覗(のぞ)いていると、見覚えのある人影が写りこんだ。

その人物はジャッジ席と反対側のスタンド中央の席に腰を下ろした。

アイスダンス・フリーダンス(FD)の公式練習を見る木原龍一(スタンド中央)。リンクで滑るのは吉田唄菜、森田真沙也組(撮影・藤塚大輔)

アイスダンス・フリーダンス(FD)の公式練習を見る木原龍一(スタンド中央)。リンクで滑るのは吉田唄菜、森田真沙也組(撮影・藤塚大輔)

厚みのある体。群青色の上着。黒色のリュックサック。

見まごうはずもない。

前から4列目、右から10列目の青緑色の席に座っていたのは、木原だった。

時間を持て余しているようではなさそうだ。真剣なまなざしでアイスダンスの練習を眺めていた。

アイスダンス・フリーダンス(FD)の公式練習を見る木原龍一(撮影・藤塚大輔)

アイスダンス・フリーダンス(FD)の公式練習を見る木原龍一(撮影・藤塚大輔)

5分ほどすると、三浦もやって来た。

木原の右側の席に腰を下ろす。2人は時おり談笑しながらも、視線はリンクから外さず、じっと目の前の練習を捉えていた。各カップルが曲かけ練習を終えるたびに、拍手を送る姿もあった。

その日は現地メディア向けの一夜明け取材が組まれていたが、開始時刻は午後1時15分以降。それまで、まだ2時間以上もある。

前日にペアを制した2人が、なぜアイスダンスの練習を見ているのか―。

気付けば私はカメラを右肩にかけ、スタンドへと続く階段を駆け上がっていた。

スタンドから練習を眺めていたワケ

本文残り74% (2267文字/3048文字)

岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。