【周藤集(上)】「遅刻のたび廊下に…」韓国の日々、インド式国際学校が教えてくれたこと

日刊スポーツ・プレミアムでは毎週月曜に「氷現者」と題し、フィギュアスケートに関わる人物のルーツや思いに迫っています。

シリーズ第44弾は周藤集(18=MFアカデミー)が登場します。15歳でジュニアグランプリ(GP)シリーズに出場し、23年全日本ジュニア選手権で銅メダルを獲得したホープは、23年末の全日本選手権中に負った大けがから復帰の道を着々と歩んでいます。

3回連載の上編では、やんちゃだった幼少期から、韓国やインド式インターナショナルスクールで学んだ日々、競技への思いを強くした中学1年生のノービス選手権までを掘り下げます。(敬称略)

フィギュア

◆周藤集(すとう・つどい)2007年(平19)1月18日、千葉市生まれ。兄の影響で小2から地元のアクアリンクちばでスケートに親しみ、加曽利中1年生だった19年の全日本ノービス選手権A5位入賞。翌20年に全日本ジュニア選手権初出場し、22年全国中学校大会で銀メダル。明徳高1年時にジュニアグランプリ(GP)シリーズ第3戦ラトビア大会で国際大会デビュー。同年に全日本選手権初出場で17位。23年全日本選手権の練習で右足首を骨折。2度の手術を経て24年夏に復帰。明治大1年として迎える25-26年シーズンは全日本ジュニア選手権優勝を目指す。身長165センチ。

春、夢の芽吹き

2025年3月5日。

二十四節気では、土の下で息を潜めていた生き物たちが春の気配に目覚めるとされる「啓蟄(けいちつ)」に当たるこの日。若者の夢が、静かに芽吹き始めていた。

ハワイアンレストランの暖かな明かりに包まれた店内。1月に18歳を迎え、少年から青年へと歩み始めたばかりの周藤集は、穏やかな口調で口を開いた。

「いっぱい友達をつくりたいんですよ」

時折窓ガラスをたたく雨音の響きが、春の訪れを待ちわびる若者の希望を帯びた声と重なった。

今年の4月から大学生になる。

フィギュアスケーターとして目標とする佐藤駿や、ジュニア時代から大会で顔を合わせてきた三浦佳生。この春、彼らと同じ、伝統の名門校、明治大学の門をたたく。

「みんなと同じ場所。とても楽しみです」

スケートだけではない。

勉強や日常生活。これまでの軌跡を振り返れば、いつも側には、年齢や性別、国の垣根さえ越えた、たくさんの仲間たちがいた。

笑顔で写真に納まる周藤集(撮影・勝部晃多)

笑顔で写真に納まる周藤集(撮影・勝部晃多)

話は、2007年へとさかのぼる。

この年、スティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表。後の技術発展に大きな影響を与えることになる革新的な年となったが、日本フィギュアスケート界もまた、歴史に欠かすことのできない1年になった。

22年ぶりに東京で開催された世界選手権で、19歳の安藤美姫が優勝を果たした。グランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカを21歳の高橋大輔が制し、同年度の4大陸選手権、世界選手権で18歳の浅田真央が金メダルに輝くなど、日本勢が世界を舞台に躍進。「黄金時代」と呼ばれる時期に突入していた。

そんな年の1月18日。

澄んだ鮮やかな青が空一面に広がった千葉市に、周藤家の次男として生を受けた。

両親から与えられた最初のプレゼントは、名前の「集」。周囲にたくさん人が集まってくるような人になって欲しいという願いが込められた。

幼少期の周藤集(本人提供)

幼少期の周藤集(本人提供)

会社員の父、主婦の母、6つ上の兄、颯(はやて)の4人家族。温かなまなざしを向けられながら、豊かな感性をのびのびと育んでいった。

周囲からは、そろって「やんちゃ」と評される幼少期。「バレバレだったと思いますけど…(笑い)」。当時から負けず嫌いは顕著で、トランプはいかさまをしてでも大人たちに食らい付いた。

水泳やそろばんも習ったが、夢はディズニーキャストになることだった。

「小さい頃からディズニーの年パス(年間パスポート)を買って、週に2回とかのペースで行っていました。習慣っていうのが適切かな。今まで100回以上は行っていると思います」

本文残り76% (4735文字/6222文字)

スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市生まれ。2021年4月入社。高校野球の神奈川担当などを経て、同年10月からスポーツ部に配属。バトル班として新日本プロレスやRIZINなどを担当し、故アントニオ猪木さんへの単独インタビューや武藤敬司氏の引退試合、那須川天心―武尊などを取材した。 23年2月から五輪班に移り、夏季競技はバレーボールを中心に担当。同年秋のW杯や24年夏のVNLなど。冬季競技はフィギュアスケートをメインに務め、全日本選手権は2年連続で取材中。X(旧ツイッター)のアカウントは「@kotakatsube」。