【箱根駅伝story】法大インパクト!松永伶と武田和馬、視線はすでに10カ月後

今年1月の箱根駅伝で総合7位に入った法政大の2人が、新シーズンへ好スタートを切りました。3月12日に東京・立川市で開催された学生ハーフマラソンで、松永伶(新4年)が3位、武田和馬(新3年)が6位と好走。20年ぶりの箱根駅伝5位以内を目指すチームへ、勢いをつける走りとなりました。 

レース後に笑顔を見せていた2人の道のりは、必ずしも順風満帆ではありませんでした。ここに辿り着くまでのストーリーに迫ります。 

陸上

〈日本学生ハーフマラソン〉◇3月12日◇東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地周回コース(21・0975キロ)

【日本学生ハーフマラソン上位成績】


順位名前大学タイム
1篠原倖太朗駒大1.02.16
2吉田礼志中央学院大1.02.29
3松永伶法大1.02.43
4並木寧音東農大1.02.48
5小暮栄輝創価大1.02.55
6武田和馬法大1.02.57
7野沢悠真創価大1.02.58
8村松敬哲東京国際大1.02.59
9平林清澄国学院大1.03.02
10佐藤一世青山学院大1.03.05
陸上自衛隊立川駐屯地をスタートする日本学生ハーフマラソン

陸上自衛隊立川駐屯地をスタートする日本学生ハーフマラソン

新シーズンに勢い、ハーフで松永3位、武田6位

レースはラスト1キロに差し掛かった。修練を重ねてきたのは、ここで勝ちきるためだ。力を振り絞る。他大学のランナーを、1人、2人と追い抜いていった。 

2023年3月12日。東京都立川市の昭和記念公園。気温15度近い陽気の中、法政大の2人は躍動した。 

ともに20キロを過ぎてからペースアップ。終盤で粘りきった。 

今年1月の箱根駅伝で1区3位の松永伶は1時間2分43秒で3位に入り、FISUワールドユニバーシティゲームズ(中国・成都)の日本代表に内定。箱根駅伝で6区5位だった武田和馬も1時間2分57秒で6位に入った。 

雲の隙間から暖かな陽光が差し込む。柔らかな春風がそっと頬をなでる。 

松永はさわやかに笑った。 

「去年の夏合宿で1000キロ以上踏んで、自分自身の課題だったスタミナ面を強化できたので、それが秋冬の結果につながって。そういった経験が、学生ハーフにもつながっているのかなと思います」 

「ラスト100メートルで2、3人を抜けました」という武田は、穏やかな瞳をたたえた。 

「去年はラストが弱くて、ずっと課題にしていて。今年も坪田さん(同大監督)に練習の時から『ラストを絶対に意識しろよ』と言われていて。調整練習からラストでスピードを上げていたりしたので、練習通りの走りができたと思います」 

柔らかな表情を浮かべる2人の道は、ずっと順風満帆だったわけではない。 

時計の針を3カ月前に巻き戻す。 

2022年12月11日。法政大の八王子キャンパス。 

寒々とした陸上競技場で、箱根駅伝を前にした取材会が開かれていた。 

エントリー入りした16人が、メディアの取材に順々に応じる。 

現在のコンディション。本番への意気込み。なぜ箱根駅伝を目指そうと思ったのか。 

その中でゆっくりと来歴を辿っていたのが、松永と武田だった。 

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。