【朝乃山を追う:23年夏場所〈下〉】「今の三役は非常に強い」このままでは…危機感

大相撲で大関経験者の朝乃山(29=高砂)が、2年ぶりに幕内力士として本場所の土俵に戻ってきた。東前頭14枚目で臨み、12勝3敗の優勝次点。好成績で迎えた終盤戦は、12日目に関脇大栄翔、13日目に横綱照ノ富士との割も組まれた。これは連敗し、4年ぶり2度目の優勝はならなかった。それでも幕内中位、下位相手には圧倒する内容も多く、目標とする年内の三役復帰を予感させた。21年5月に新型コロナウイルス感染対策ガイドラインの違反。6場所の出場停止処分を経て、三段目から再出発した朝乃山のドキュメント。今回は夏場所を振り返る。2回連載、下編は8日目から千秋楽まで。

大相撲

<東前頭14枚目:12勝3敗>下編:8日目から千秋楽まで

胸が高鳴った「久しぶりの結び」照ノ富士戦

北青鵬(右)に下手投げで敗れる

北青鵬(右)に下手投げで敗れる

8日目(7勝1敗)

● 東前頭11枚目 北青鵬戦

折り返しの「中日」に、朝乃山が今場所初黒星を喫した。相手は現役最長身204センチの北青鵬。規格外の相撲から、幕内2場所目の夏場所で、一気に注目度の高まった新鋭の奇襲に後手に回った。7勝1敗で、13場所ぶりの幕内勝ち越しはお預け。横綱照ノ富士が、ただ一人、ストレート勝ち越しを果たし、1差がついた。格上を追う展開で、4年ぶり2度目の優勝を期待する、ファンのムードも消沈する結果となった。

立ち合いで北青鵬に左に変化され、左上手を許した。がっぷりと組んで前に出たが、立ち合い変化で後手に回った分、相手に上手の良い位置を許し、最後は下手投げに転がった。北青鵬との顔合わせは、互いに十両だった初場所に続き2度目。その時は勝ったが、返り討ちに遭った格好となった。

「(立ち合いで)横にずれてくるのは予想していなかった。対応できなかったということは、まだ弱い部分」と、唇をかんだ。「立ち合い変化で慌てたか?」の質問には「そうですね。変わられた時に、体ごとあっち(相手の方)に向いていかないといけなかった。先に攻めようとしたけど…。昔から指摘されている通り、上手を切らないといけなかった。勉強不足。負けは負け。切り返していくしかない」と肩を落とした。終始反省の弁だった。

3日目の琴恵光戦こそ、行司軍配差し違えの辛勝だったが、2日目までと、その後は好内容の取組が続いていた。勝ち越しがかかっていたことは「頭の片隅にあった。欲が出たかもしれない」と、無意識に早く勝ち越しを決めたい思いがでたと自己分析した。「1つ負けたので、明日からまた、自分の相撲を取っていきたい」。9日目からの仕切り直しを誓っていた。

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1999年入社。現在のスポーツ部ではサッカー(1)→バトル→五輪→相撲(1)→(5年半ほど他部署)→サッカー(2)→相撲(2)→ゴルフと担当。他に写真部、東北総局、広告事業部にも在籍。
よく担当や部署が替わるので、社内でも配った名刺の数はかなり多い部類。
数年前までは食べる量も社内でも上位で、わんこそばだと最高223杯。相撲担当になりたてのころ、厳しくも優しい境川親方(元小結両国)に「遠慮なく、ちゃんこ食っていけ」と言われ、本当に遠慮なく食べ続けていたら、散歩から戻った同親方に「いつまで食ってんだ、バカヤロー!」と怒られたのが懐かしいです。