【宇都宮ブレックス〈24〉】遠藤祐亮選手のシュート力を深掘りします〈1〉

ブレックスにとって、遠藤祐亮選手の3ポイントシュートは欠かせない武器の1つだ。遠藤選手の手から放たれたシュートは、きれいな回転でほどよい高さの放物線を描き、バスケットに吸い込まれていく。「品」があると言ったら良いのだろうか。見ているだけで心地良い。遠藤選手のシュート力の源はどこにあり、いかに磨かれてきたのか。これまで遠藤選手にかかわってきた方々に話を聞いてみることにしました。

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【次回予定〈25〉遠藤祐亮選手のシュート力を深掘りします〈2〉】

遠藤選手のシュート連続写真(1月4日の練習から)

「今のブレックスで言うと、比江島選手でしょうか」

大東文化大時代の遠藤祐亮選手。大学時代の写真はすべて西尾吉弘監督からお借りしました

大東文化大時代の遠藤祐亮選手。大学時代の写真はすべて西尾吉弘監督からお借りしました

埼玉県の北西部を走る、東武東上線の高坂駅前には雪が残っていた。2月上旬、平日の昼時。あたりにはのどかな雰囲気が漂う。

ここが、遠藤祐亮選手が4年間、過ごした街か。遠藤選手の地元、千葉・習志野からは電車で2時間以上かかるだろう。高校から大学へ、どんな思いでやってきたのだろうか。

駅前のロータリーを歩いていたら、スクールバスが到着した。学生たちが次々に降りてきて、のどかだった駅前があっという間ににぎやかになった。

大東文化大のキャンパスに通う学生たちの利用するバスは、日中は数十分置きに発到着する。そのたびに駅前は活気にあふれ、ここが学生の街であることを思い出させてくれる。

バスに乗って10分もしないうちに大東文化大に到着した。構内を見学しながら、総合体育館を目指す。体育館に入ってすぐ、右側の壁に男子バスケットボール部出身のプロ選手たちのユニホームが飾られていた。

一番手前にあったのが遠藤選手で、その隣が琉球の岸本隆一選手。スマホで写真を撮っていたら、背後から声をかけられた。

「沢田さんですか? 西尾です」

大東文化大バスケットボール部の西尾吉弘監督(41)だった。早く着きすぎたことを詫び、近くの控室に案内された。

室内にはすでに暖房が入っており、快適な取材環境。女子マネジャーさんがお茶まで持ってきてくれた。良い話が聞けそうだ。勝手に期待を膨らませていたら、西尾監督が口を開いた。

「遠藤のシュート力を聞きたいのですよね? ご期待に添えずに申し訳ないのですが、大学時代の遠藤はシュートがうまい方ではなかったんですよ」

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。