【38歳の最古参関取・佐田の海(上)】趣味はなくていい、相撲に一途であるだけ

佐田の海(境川)が、5月の夏場所で3年ぶりに2桁勝利を挙げました。

15歳で初土俵を踏んでから23年。関取最高齢は40歳の玉鷲ですが、38歳の佐田の海は最古参の関取になります。

この年まで第一線で活躍できる理由を、インタビューをもとにひもときました。

大相撲

◆佐田の海貴士(さだのうみ・たかし)1987年(昭和62年)5月11日生まれ、熊本市出身。本名・松村要。父は元小結佐田の海。中学卒業後、父の弟弟子である元小結両国の境川部屋に入門。2003年春場所初土俵。2010年名古屋場所新十両、2014年夏場所新入幕。最高位は西前頭筆頭。三賞は敢闘賞3回。金星1個(日馬富士)。得意は右四つ、寄り。182センチ、142キロ。

誕生日祝いは場所後に

夏場所初日の5月11日、佐田の海は38歳の誕生日を迎えた。

2017年に結婚し、今は娘が2人いる。ゆうりさん(7)と、しほさん(4)の父でもある。

誕生日の翌12日、2日目の取組を終えた後、西の支度部屋で聞いた。

「昨日は、家族でケーキを食べたりしたんですか?」

すると、佐田の海は、こう答えた。

「ケーキはおいしく食べたいじゃないですか。そういうのは、場所が終わってからにしようと(家族に)言ってあります。この年になったら、めでたくもないですからね。普通の場所の初日、いつものリズムを崩したくないので…。場所前から、やることがいろいろあるんですよ」

夏場所で敢闘賞を受傷した佐田の海

夏場所で敢闘賞を受傷した佐田の海

この場所、佐田の海は3年ぶりの2桁勝利となる10勝を挙げた。3度目の三賞となる敢闘賞を獲得した。38歳での三賞は、歴代4位に並ぶ高齢記録だった。

本場所後にケーキは食べられたのだろうか。場所前からのやること、とは何か。なぜ、この年で活躍できるのか。

夏場所後、佐田の海に取材の時間を取ってもらった。

自転車に乗らない

ケーキは、場所が終わってから1週間後、家族4人で生クリームのショートケーキを食べたという。子どもたちからは、「パパ大好きだよ」とメッセージが入った絵と、刺しゅう入りのタオルをもらった。

家族への感謝は尽きない。

「いつも自分のリズムを崩さないようにしてくれています。わがままを聞いてもらっています。(家族から)『遊びに行こう』と言われない分、自分発信で言った方がいいかなと思って『場所休みにディズニーランドに行こうか』とか『キッザニアに行こうか』と言うこともあります。普段は連れて行ってあげられないので」

家族を大事にしつつ、勝負の世界に生きている。

本場所で力を出し切れるように、日ごろのケアには人一倍注意を払っている。

自転車には、もう約4年、ほとんど乗っていない。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。