【初場所こぼれ話 8日目~千秋楽】相撲協会の転売対策 決定戦直前の東支度部屋

初場所もいろいろなことがありました。現地で取材した「こぼれ話」をお送りします。

後編は中日から千秋楽までをお届けします。

大相撲

こぼれ話後編に書いたこと

  • 宮内庁記者から理事長への質問
  • 花の富士が語る炎鵬への尊敬心
  • 休場したらパーティーできない?
  • あの転売対策は本当か?
  • 優勝決定戦前の安青錦ドキュメント
初場所観戦のため、両国国技館に到着された天皇、皇后両陛下と長女愛子さま

初場所観戦のため、両国国技館に到着された天皇、皇后両陛下と長女愛子さま

ペンか鉛筆か

中日8日目

天覧相撲にあたり、準備を進めた。

まず皇后陛下が昨年12月9日の誕生日に際し、宮内庁を通じて発表された文書内で、安青錦関の活躍について触れられた件。安治川親方(元関脇安美錦)に聞いた。「安青錦にもいろいろ説明した。でも、言わなくても分かっていた。お言葉はうれしいこと。これを励みに頑張ってくれていると思います」。師匠夫妻が、丁寧に大関に説明している様子が伝わってくる。同時に、安青錦関も自ら調べたり聞いたりして、正しく認識している。

天覧相撲14連勝を飾った霧島は支度部屋で小錦(手前)と冗談を言い合う(1996年1月14日撮影)

天覧相撲14連勝を飾った霧島は支度部屋で小錦(手前)と冗談を言い合う(1996年1月14日撮影)

私の中で天覧相撲と言えば、元大関霧島の陸奥親方。天覧相撲14連勝の記録が残っているので、あらためて事実関係を確認した。

確かに14連勝していた。陛下がどのタイミングで来場されたのかは分からなかったが、天覧相撲の日の取組で14連勝していたことは間違いなかった。特筆すべきは、4勝しか挙げていない場所でも、天覧相撲の日は勝っていること。天覧相撲が予定されていたが、急きょ中止になった日は負けていること。

陸奥親方は「毎日、陛下に来ていただけないかと思ってた」と言っていた。弟子の霧島関は、安青錦戦。「苦手の安青錦だからなあ…」と心配していた。

合間を縫って、三保ケ関親方(元幕内栃栄)には、親方ちゃんねるで観戦マナーについて訴えていたことについて聞いた。

幕内前半は支度部屋で取材したが、天皇皇后両陛下と愛子さまの来場に合わせて、記者席へ向かった。生で会場の雰囲気を味わいたかった。

席へ向かう途中、1階席のドア付近で様子を見た。すると、赤ちゃんを抱っこした男性から「プレミアムの会員です。こぼれ話が楽しみ」と声を掛けていただいた。とてもありがたい。

ご一家を出迎える満員の両国国技館の観客たち(撮影・中島郁夫)

ご一家を出迎える満員の両国国技館の観客たち(撮影・中島郁夫)

ご来場の場面は、場内が高揚感にあふれた。これまで感じたことのない、温かな雰囲気だった。

果たして取組は横綱大関総崩れ。天覧相撲初の珍しい事態となった。

勝った霧島関に、先代の記録について聞くと「知らない」と言うので説明すると「へえ…、親方に会ったら報告します」とやや薄めのリアクション。

初場所8日目を観戦される天皇皇后両陛下。右は愛子さま、後方左は八角理事長(撮影・小沢裕)

初場所8日目を観戦される天皇皇后両陛下。右は愛子さま、後方左は八角理事長(撮影・小沢裕)

この日は打ち出し後、横綱と大関は、両陛下と愛子さまとの懇談があった。もちろん非公開だが、極めて珍しいことだ。

頃合いを見計らって、貴賓席で説明役を務めた八角理事長(元横綱北勝海)の会見へ。この会見は、一般紙やテレビの宮内庁記者会の記者13人と合同で行われた。

私のような相撲記者クラブの記者にとっては、とても新鮮だった。宮内庁担当の記者13人のうち、女性が6人。うち2人は会見中、スマホでメモを取っていた。フリック入力が早ければ、PCよりも効率はいいのかもしれない。

宮内庁担当の記者の狙いは、明らかだ。天皇皇后両陛下と愛子さまの誰が誰にどういう話をされたのか。それを理事長からできるだけ具体的に聞き出して記事にする。

会見中、宮内庁担当のある記者が「愛子さまが持ってたのは、鉛筆かペンか、どっちか覚えてますか」と質問した。ここだけ切り取れば唐突に聞こえるかもしれないが、話の流れとしては無理はなかった。

この質問をした記者の気持ちはよく分かる。原稿にディテールを書き込んだ方が臨場感が伝わるのだ。

ただし、この感覚は八角理事長には伝わらない。

「どっちかじゃないの」

まったく悪気のない口調に思わず吹き出してしまった。理事長は大役を終え、ほっと一息ついているような感じでもあった。

支度部屋で取材に応える霧島

支度部屋で取材に応える霧島

そして陸奥親方に再度連絡。「霧島関、あの記録のこと知りませんでしたよ」。「ウソ?!」と驚いていた。

獅子担日記

9日目

この日は休み。

西武ライオンズ担当の金子真仁記者が「獅子担日記」という企画を始めている。プロ野球記者の日記だ。彼は文章がうまく、視点も素晴らしい。お勧めの記事なので、読んでいただければ。

ウクライナだけど…

10日目

本場所中だが、白鵬杯の開催発表会見があったので、まずはそちらに向かった。会見会場は、AP赤坂グリーンクロスのグリーンラウンジ。おしゃれな雰囲気で、段取りもいい。マネジメントがうまくいっていることを感じさせる。

第16回白鵬杯の開催概要を発表した白鵬翔氏

第16回白鵬杯の開催概要を発表した白鵬翔氏

白鵬さんには会見後の個別取材を申し込んでいた。個別に話をするのは、昨年5月の夏場所以来だ。宮城野部屋出身力士の改名についてどう思うか聞いた。するとあっけないほどの答えが返ってきた。約5分の話を終え、グワッと力強く握手した。力士たちに取材してきたことと合わせて記事にした。

国技館に戻って、本場所の取材を再開。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。