安青錦の「時代おくれ」から見えてくる師弟の信頼関係/力士と音楽(2)

ウクライナ出身の大関安青錦(21=安治川)は、河島英五の「時代おくれ」を持ち歌にしています。

なぜ河島英五で、どう覚えていったのでしょうか。

「力士と音楽」の第2弾をお送りします。

大相撲

このエピソードは、すっかり有名になった。

安青錦は、河島英五の「時代おくれ」を歌う―。

「こんな顔で『時代おくれ』を歌ったら、面白いじゃないですか」

安青錦の鉄板ネタになりつつある。

もう少し、掘り下げて聞いた。

ほんの3年前の入門当時、師匠の安治川親方(元関脇安美錦)から「何か1曲、覚えておくといいよ」とアドバイスされた。

なぜ「時代おくれ」なのかは、本人もよく覚えていない。

「本当に入ったばっかりだったので…。力士が誰か、歌ってたのかな。それを見て…。1つでも(歌える曲を)知ってた方がいいなって感じで、なんとなく」

力士ではない友人に歌詞をひらがなで書いてもらい、覚えていったという。

どの相撲部屋も、本場所ごとに千秋楽の打ち上げがあり、後援者らを集めてパーティーを開く。その余興で力士が歌うことが多い。

演歌や歌謡曲は、比較的年齢層が高めの後援者にウケがいい。外国出身力士にとっては、カラオケが日本語を覚えるきっかけにもなる。元横綱鶴竜の音羽山親方は師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)から村田英雄の「王将」を勧められた。「時代おくれ」は、阿武剋も好きな曲として挙げている。

日刊スポーツのインタビューに答える河島英五さん(1999年5月24日撮影)

日刊スポーツのインタビューに答える河島英五さん(1999年5月24日撮影)

河島英五は代表曲「酒と泪と男と女」も含め、昭和の男を歌い上げる曲が多い。「時代おくれ」は、不器用で弱さを抱えながらも、自分の信じる生き方を貫く姿が描かれている。

安青錦は歌詞の意味を理解した上で「男らしい歌。かっこいいなって思ってます」と言う。

ただし、好んでマイクを握るタイプではない。歌える日本語の曲は、この曲くらい。

「歌うのは苦手ですね。若い衆と一緒に歌ったことことがあります。自分が得意なところを歌って、あんまり得意じゃないところを歌ってもらって…」

相撲を見る限り、内無双などの技が切れ、器用なタイプにも見える。そんな安青錦にも苦手がある。

何が苦手か。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。