【名古屋場所こぼれ話 初日~7日目】安青錦の日本語力、阿炎がじゃんけんに例えたこと
名古屋場所が終わりました。現地取材の裏側、新聞やウェブに書き切れなかったことなど、「名古屋場所こぼれ話」としてお送りします。
まずは、初日前日から7日目まで。
大相撲
初日前日
同僚は番付発表から名古屋入りしていたが、私は初日の前日から。栄のホテルに荷物を置き、IGアリーナへ。
どうしても取材したいことがあった。名古屋場所の新会場IGアリーナでの開催へ向け、元幕内木村山の岩友親方が尽力していた。その岩友親方は昨年7月6日に急逝。その思いは、どう引き継がれていたのか。IGアリーナ内の先発事務所に向かい、同じ春日野部屋の三保ケ関親方(元幕内栃栄)に話を聞いた。
思わぬエピソードを聞けた。岩友親方が使っていた業務用のノートPCやガラケーは、現在の名古屋場所担当の親方衆が引き継いでいた。記事を書いた。
記者クラブを拠点に、IGアリーナ内を散策。翌日からは、東西の支度部屋を中心に動くため、導線などを確認したが、広すぎてなかなか覚えられない。
名古屋場所担当の千賀ノ浦親方(元幕内里山)にアテンドいただき、東の支度部屋へ。後日、イラストを描こうと考えていたので、写真撮影をしつつ、支度部屋を歩測した。
同僚と電話で打ち合わせ。明日は名古屋場所初日。新横綱大の里の勝敗には当然注目しなければいけないが、IGアリーナの初日でもある。「初もの」には注意しながら取材しようと申し合わせた。初日の開場は午前9時であることを確認した。
明け荷が大量に届いていた。
IGアリーナから栄のホテルへは、シェア自転車「チャリチャリ」で戻った。昨年までの会場ドルフィンズアリーナがどうなっているのか気になったので、寄りたかったのだ。名古屋城が隣接しているため、人出はそれなりにある。体育館、プール、トレーニング場など通常稼働していた。この会場にも多くの思い出があるので、ちょっと懐かしいようなさみしいような気がした。
初日
午前7時50分にIGアリーナ最寄りの「名城公園駅」に到着。
IGアリーナの正面階段付近で、阿武松部屋の若い衆2人がウロウロしていた。力士入口が分からないようだったので、「あっちだよ」と教えてあげた。
「初もの」でぜひ抑えておきたかったのが、開場一番乗りのお客さん。正面入口で取材。一番乗りは、名古屋市の歯科医師・鈴木学さん。前日の午後8時59分から並んでいたとのこと。どうやって一夜を明かしたのか、なぜ一番乗りを狙ったのか、など取材した。
その後、関係者入口へ。今度は、式秀部屋の若い衆3人が道に迷っているようだったので、「あっちだよ」と誘導。新会場の初日だから、わかりにくいのも無理はない。この日の朝だけで、力士5人を救った。
午前8時20分、入口付近でベースボール・マガジン社のK氏とカメラマンD氏に会った。彼らはタクシーから降りてきた。「いいなあ」なんて言いながら、報道受付へ。記者、カメラマンとも名前を書いて入るシステムなのだが、K氏が「あっ、まだ誰も来てない。一番乗りだ」と言うので、「Kさん、だったら僕に先に書かせてくださいよ」とお願いして記名。カメラマンは何人か到着していたが、ペン記者一番乗りを果たした!
記者室に入り、前日から気になっていた「ステッカー付きレモンスカッシュ」を自動販売機で購入。なんと800円。ステッカーは若元春関。当たりだ。
午前8時45分、最初の触れ太鼓。
午前9時10分、取組開始。IGアリーナ初勝利の力士は、玉ノ井部屋の東颯海さん。各社とも狙いは同じで、多くの記者に囲まれていた。
午前10時40分、サブアリーナでちゃんこ(600円)を食べた。5日ごとに味が変わり、序盤はしょうゆ味。
午前11時、今場所から記者クラブ担当となった湊川親方(元大関貴景勝)が登場。あいさつしつつ、早速取材させてもらった。「股割ってできた方がいいと思いますか」。今場所前、安青錦関は股割ができないことを知り、気になっていた。
午前11時50分、サブアリーナで親方売店やガチャなどをチェック。大の里関のお父様がいらしたので、あいさつ。
今場所から親方売店で、ディズニーと相撲協会が絡んだ新商品を売り始めた。協会の商品開発者に取材。このディズニー商品に書かれている相撲字は、行司の木村千鷲によるもの。
行司部屋に行き、千鷲さんを取材。千鷲さんが、「国技館カレー」や「北の富士カレー」の字も書いていた。その味をイメージして書くことがポイントなんだとか。
中日に参議院選挙を控えている。この取材も進めた。力士らは遅くとも番付発表のあった6月30日から名古屋入りしているため、東京で期日前投票ができない。不在者投票をした人はどれだけいるのか。「投票している人はこんなに少ない。けしからん」という記事は書きたくない。なので、投票した人を探して話を聞き、前向きな記事を書こうと決めていた。
すると、押尾川部屋は部屋全体で対応していることが分かった。
床仁さんに話を聞いた。すき櫛につける「すき毛」について。すき毛をつけることで、油がのびて、マゲに付いたほこりなども取れるのだという。人毛で、1袋2000円。
本文残り72% (5594文字/7813文字)

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。
-
大相撲若隆景と若元春が弟として感じたこと… 大波3兄弟の長男・若隆元が若者頭へ転身
若隆景と若元春が弟として感じたこと… 大波3兄弟の長男・若隆元が若者頭へ転身 大波3兄弟の長男、若隆元(34=荒汐)が夏…
佐々木一郎
-
大相撲力士の化粧まわしや締め込みが燃えてなくなった 31年前のパリの記憶
力士の化粧まわしや締め込みが燃えてなくなった 31年前のパリの記憶 大相撲パリ公演が2026年6月13、14日にフランス…
佐々木一郎
-
大相撲【夏場所こぼれ話 9日目~千秋楽】国技館カレーはおかわりしていいのか?
【夏場所こぼれ話 9日目~千秋楽】国技館カレーはおかわりしていいのか? 2026年の大相撲夏場所は、小結若隆景の25場所…
佐々木一郎
-
大相撲【夏場所こぼれ話 初日~8日目】勝敗が変わらなければ確認の物言いは付けなくていい
【夏場所こぼれ話 初日~8日目】勝敗が変わらなければ確認の物言いは付けなくていい 2026年の大相撲夏場所は、小結若隆景…
佐々木一郎
-
大相撲【宇良の世界(後編)】時間の有効活用を目指すミニマリスト「モノの2軍はいらない」
【宇良の世界(後編)】時間の有効活用を目指すミニマリスト「モノの2軍はいらない」 宇良(33=木瀬)は、モノや時間を大切…
佐々木一郎
-
大相撲【宇良の世界(前編)】語らない理由と理想の相撲「気持ちは棒銀、型は四間飛車で」
【宇良の世界(前編)】語らない理由と理想の相撲「気持ちは棒銀、型は四間飛車で」 宇良(33=木瀬)は、多彩な技で観客を沸…
佐々木一郎
-
大相撲【母の日】御嶽海が天国のマルガリータさんに伝えたいこと「ケガをしないように…」
【母の日】御嶽海が天国のマルガリータさんに伝えたいこと「ケガをしないように…」 5月の第2日曜日。夏場所初日は例年、「母…
佐々木一郎
-
大相撲大の里は高安の助言をどう受け止めたか 尊重し合う2人の関係性
大の里は高安の助言をどう受け止めたか 尊重し合う2人の関係性 横綱大の里(25=二所ノ関)は、痛めている左肩について兄弟…
佐々木一郎
-
大相撲高安はなぜ大の里に助言を送ったのか? 恩返しと大局観「相撲界が良くなればいい」
高安はなぜ大の里に助言を送ったのか? 恩返しと大局観「相撲界が良くなればいい」 春巡業中、高安(36=田子ノ浦)の優しさ…
佐々木一郎
-
大相撲プレスリリースに書かれていなかった事実 午前3時に何があった? 処分は妥当か?
プレスリリースに書かれていなかった事実 午前3時に何があった? 処分は妥当か? 日本相撲協会は4月9日、伯乃富士の暴力を…
佐々木一郎
-
大相撲【アンケート結果発表】日本相撲協会の伊勢ケ濱親方への処分をどう思いますか?
【アンケート結果発表】日本相撲協会の伊勢ケ濱親方への処分をどう思いますか? 伊勢ケ濱親方(元横綱照ノ富士)が伯乃富士に暴…
佐々木一郎
-
大相撲ヤメ力士超相撲って何?優勝は元大関把瑠都か引退したばかりの英乃海か…賞金100万…
ヤメ力士超相撲って何?優勝は元大関把瑠都か引退したばかりの英乃海か…賞金100万円 元幕内力士10人によるトーナメント大…
佐々木一郎
-
大相撲【春場所こぼれ話 8日目~千秋楽】実況も惑わせた宇良 北陣親方は何を読んでいる?
【春場所こぼれ話 8日目~千秋楽】実況も惑わせた宇良 北陣親方は何を読んでいる? 大相撲春場所は、関脇霧島の優勝で幕を閉…
佐々木一郎
-
大相撲【春場所こぼれ話 初日~7日目】なぜ横綱が負けても座布団が飛ばないのか?
【春場所こぼれ話 初日~7日目】なぜ横綱が負けても座布団が飛ばないのか? 大相撲春場所は、関脇霧島の優勝で幕を閉じました…
佐々木一郎
-
大相撲【霧島 優勝一夜明け会見全文】「先代のようなかっこいい大関になりたい」
【霧島 優勝一夜明け会見全文】「先代のようなかっこいい大関になりたい」 春場所で14場所ぶり3度目の優勝を果たした関脇霧…
佐々木一郎
-
大相撲元大関貴景勝の湊川親方が解説に込める思いとは? 5つのポイントを解説
元大関貴景勝の湊川親方が解説に込める思いとは? 5つのポイントを解説 元大関貴景勝の湊川親方(29)が春場所5日目の3月…
佐々木一郎
-
大相撲「感性が磨かれた」高安が実感する演歌の力/力士と音楽(3)
「感性が磨かれた」高安が実感する演歌の力/力士と音楽(3) 人は、音楽によって心を動かされる時があります。それはアスリー…
佐々木一郎
-
大相撲安青錦の「時代おくれ」から見えてくる師弟の信頼関係/力士と音楽(2)
安青錦の「時代おくれ」から見えてくる師弟の信頼関係/力士と音楽(2) ウクライナ出身の大関安青錦(21=安治川)は、河島…
佐々木一郎