「百周年場所」の舞台裏 仕掛け人の西岩親方が語る「これが伝統文化だと思います」

「大相撲百周年場所」が10月7日に東京・両国国技館で開催されました。日本相撲協会財団法人設立100周年を記念したイベントです。

一門別選抜団体トーナメント戦や、平安時代の相撲節会形式の「古式大相撲」が行われました。

企画・運営に携わった西岩親方(元関脇若の里)に舞台裏を聞きました。

大相撲

4月から企画

「大相撲百周年場所~古式大相撲と現代大相撲」が、大盛況で幕を閉じた。

10月7日、両国国技館。開演は午後1時、打ち出しは午後5時。平日の開催にもかかわらず、8月にチケットを売り出すと即日完売。本場所では見ることができない催し物の数々に、好角家の注目度は高かった。

このイベントは、高崎親方(49=元幕内金開山)、西岩親方(49=元関脇若の里)、三保ケ関親方(51=元幕内栃栄)、竹縄親方(51=元関脇栃乃洋)の4人が中心となって準備を進めていた。現在は広報部に所属する西岩親方に、百周年場所の裏舞台を聞いた。

大相撲100周年場所であいさつする日本相撲協会の八角理事長(中央)と幕内全力士(撮影・足立雅史)

大相撲100周年場所であいさつする日本相撲協会の八角理事長(中央)と幕内全力士(撮影・足立雅史)

企画を始めたのは、今年4月ごろ。

「100周年にふさわしいものは何か、ファンの皆さまに感謝するイベントができたらいいのではないか。そんな声が協会内でありました。若い親方を中心に考えてほしいと言われ、私のほか、高崎親方、三保ケ関親方、竹縄親方の4人が中心となり、今まで実施してきたファン感謝祭、勧進相撲とは違うものを考えました。何度か4人で話し合い、100周年なので、伝統文化を見てもらうのが一番いいのではないかと方向性になりました。そこで、平安時代の相撲節会(すまいのせちえ)を現代版にした古式大相撲をやろうかということになりました」

実は日本相撲協会は、30年前にも、古式大相撲を開催している。

1995年(平成7年)2月5日、昭和天皇に捧げる「報恩古式大相撲」だった。

当時の日刊スポーツには、こんな記事が載っている。

1995年2月6日付の日刊スポーツ

1995年2月6日付の日刊スポーツ

昭和天皇にささげる27年ぶりの古式相撲が5日、東京・両国国技館で行われた。注目されたのは貴乃花(22=二子山)曙(25=東関)の両横綱による三段構え。1985年(昭60)の両国国技館落成式で北の湖(現北の湖親方)と千代の富士(現九重親方)が行って以来10年ぶりだったが、両横綱は難なく務めて「いい記念になった」と声をそろえていた。また貴ノ浪(23=二子山)武蔵丸(23=武蔵川)による神相撲も披露され、1万500人の観客をわかせていた。後半で行われた勝ち抜き戦では曙が優勝した。

西岩親方は、こう続けた。

「30年前に1度やっているので、それに習ってやりましょうということになった。ただ、その時に経験した人が4人の中にいない。何から始めたらいいか分からない。手探りで始めました」

わずか半年あまりの準備期間で実施できた「百周年場所」を西岩親方のコメントをもとに時系列で振り返ってみたい。

百周年場所のプログラム

百周年場所のプログラム

即日完売

8月、チケット前売り開始

「チケットの売り方もどうしようか話し合いました。いろんな案があった中で、本場所より安めにしました。平日の午後なので、チケット売れるかどうか心配でしたが、発売日当日で売り切れた。携わった僕らとしては本当にありがたいことでした」

開場

「10時45分に花火を打ち上げました。国技館2階から、許可を取って上げました。話し合いの中では、ブルーインパルスを飛ばす案もあったんです。100周年なのでこれまでとは違うものをやろうと、手作りで作っていったんです」

精巧な横綱の錦絵

1階エントランス

相撲絵師・木下大門による「歴代横綱場所入り図」が掲げられていた。いつもなら優勝賜杯などが飾ってある場所に、巨大な相撲錦絵が圧倒的な大きさで展示され、来場者の撮影スポットになっていた。

「原画はフランスにあります。フランスに出展したものを見て、百周年場所で飾ったらいいのではないかと木下大門さんに連絡しました。データをもとに、制作しました」

横綱場所入りの図の一部

横綱場所入りの図の一部

これは12月の記念式典でも再び披露される予定だという。

賞金総額390万円

一門別選抜団体トーナメント戦

「伝統文化を披露するおごそかなもの以外でも、お客さんに喜んでもらうことをやろうと考えました。団体戦をやったら盛り上がるのではないかという案が出て、一門別の団体戦にしました。賞金を出して、真剣勝負を見せる。幕下以下の力士にとっては、結構な賞金なんですよ。また、幕下以下の力士が満員の国技館で取るのはなかなかチャンスがありません。そういったことも経験してほしいということも考えました」

結果と出場者は、次の通り。幕下1は16枚目以下、幕下2は15枚目以上。


順位一門序二段三段目幕下1幕下2十両
優勝出羽海A清の山雷道東俊隆栃武蔵三田
2位時津風A白竜大凜山大雄翔吉井大青山
3位二所ノ関A関塚八女の里風の湖夢導鵬
3位出羽海B播磨皇山藤豪刃雄上戸西ノ龍
1回戦時津風B大翔富豊将豊竜荒篤山
1回戦二所ノ関B大天真幹希の里御雷山大辻琴栄峰
1回戦高砂千代大宝朝氣龍千代虎北の若朝翠龍
1回戦伊勢ケ濱志摩錦魁清城松井旭海雄
「一門別選抜団体トーナメント戦」で優勝した出羽海A(撮影・足立雅史)

「一門別選抜団体トーナメント戦」で優勝した出羽海A(撮影・足立雅史)

賞金は、あえて番付順に傾斜を付けて割り振ったという。

1回戦負けの場合、チームとしての賞金は26万円。十両=8万円、幕下2=6万円、幕下1=5万円、三段目=4万円、序二段=3万円。3位は2倍、2位は3倍、優勝は4倍。つまり優勝すると総額104万円となり、十両=32万円、幕下2=24万円、幕下1=20万円、三段目=16万円、序二段=12万円という割り当てだ。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。