亡き父に捧げる新十両昇進 一意「まだ番付があるので頑張ります、守ってください」

強くて個性的な力士が、新十両に昇進しました。

西幕下15枚目の一意(かずま、24=木瀬)が九州場所で7戦全勝とし、幕下優勝と十両昇進を決めました。

200キロ近い体格や、いかつい顔立ちなど魅力たっぷり。ブルドーザーのような圧力は、2026年のさらなる飛躍を感じさせます。

大相撲

◆一意虎風(かずま・とらかぜ)本名・川渕一意。2001年(平成13年)11月12日生まれ、大阪市港区出身。小2から東大阪相撲道場で始めた。中学から石川県に相撲留学。金沢学院高から日本大学。大学時代は国体優勝など6冠。木瀬部屋に入門し、2024年名古屋場所で幕下60枚目格付け出しデビュー。得意は突き、押し、左四つ。184センチ、195キロ。兄は元幕下川渕、弟はプロボクサーの川渕一統。

「関取になりました」

本来なら、もっと注目されていい存在だ。

2025年は2横綱が誕生した。九州場所では安青錦が初優勝を果たして大関に昇進。上位の話題が抱負だった今年、別の若い力士が猛スピードで番付を駆け上がってきた。それが、一意だ。

九州場所は、危なげなく幕下優勝。6勝同士で迎えた七番相撲でも、竜翔(23=追手風)をまったく相手にしなかった。

幕下優勝を決めた一意(撮影・小沢裕)

幕下優勝を決めた一意(撮影・小沢裕)

寄り切りで竜翔(右)を下し、幕下優勝を決めた一意(撮影・岩下翔太)

寄り切りで竜翔(右)を下し、幕下優勝を決めた一意(撮影・岩下翔太)

12月初旬、東京・墨田区の木瀬部屋に戻っていた一意に、取材の時間を取ってもらった。

―昇進おめでとうございました。反響はいかがですか

正式に発表されてから、「おめでとう」って声は結構いただきました。

―番付編成会議の当日は、どのような連絡を

朝、師匠から呼ばれて、「正式に決まったから」という話をいただきまして。正式に上がったんだなっていうのを実感しました。

―すでに大部屋から個室に移動しているんですね。居心地はいかがですか

気を使わないというか、周りに人がいないんで…。リラックスできるというか、自分の時間が増えるなって。静かで落ち着きます。

―付け人は

まだ決まってなくて、師匠と相談します。

―お父様には、どういう報告をしたいですか

プロに入って関取になるっていうのを一番思っていたんで「関取になりました」ということをまず伝えて、これからまだ(上に)番付があるので頑張ります、守ってくださいと言いたいです。

角界入りしてからの一意の成績は、次の通り。


24年7月幕下60枚目付出4勝1敗2休
9月西幕下49全休
11月西三段目29全休
25年1月西序二段9全休
3月東序二段80全休
5月東序ノ口77勝(優勝)
7月東序二段56勝1敗
9月東三段目267勝(優勝)
11月西幕下157勝(優勝)

27勝1敗

日大時代に国体優勝など大学6冠の実績をひっさげ、2024年名古屋場所で幕下60枚目格付け出しデビュー。4連勝で勝ち越した後、右膝前十字靱帯断裂の大けがを負った。4場所全休する間に番付は急降下。復帰した時は、序ノ口だった。そこから快進撃が始まる。4場所で27勝1敗。一気に十両へ駆け上がった。

金沢学院高時代の一意(右)と父の川渕一男さん(本人提供写真)

金沢学院高時代の一意(右)と父の川渕一男さん(本人提供写真)

父の一男さんが52歳で亡くなったのは、8月19日のことだった。

実家のある大阪から、専門医に診てもらうため、父は東京の病院に入院していた。最後に話ができたのは6月。「普通に話していました。回復に向かっている状態だったんですけど、名古屋場所あたりで、悪くなっちゃってですね…」。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。