まるで映画かドラマのようだった。ラストランを完全Vで飾るなんて…。林巨人(なおと、37=愛知)が家業の建築業を継ぐため、3月末の名古屋F1を最後にユニホームを脱いだ。

ラストランで完全Vを飾った林巨人
ラストランで完全Vを飾った林巨人

競輪選手に進路を決めたときは、そのつもりはなかった。しかし、父が廃業を口にすると思いは変わった。「後継の話が出たのは昨年の夏。10月には引退を決めました」。そして、年度末の地元戦を区切りにした。

連勝で決勝に勝ち上がった林は目標の皿屋豊が野原雅也にたたかれると、番手の南修二をさばいて野原にスイッチ。ゴール前できっちり差し切った。周囲からは「まだまだできる」の声もあったが「(引退は)もう、決めていたことなので。次にやることがたくさんあるので寂しさはありません」とサバサバした様子で話した。思い出のレースは15年の競輪祭。2予、準決と深谷知広と連係したこと。

同じ塚崎真吾氏門下の兄弟子・一丸安貴は「ずっと一緒にやってきただけに寂しさはありますね。第2の人生も頑張ってほしい」とエールを送った。

もともと、競輪好きの父の勧めで選手になった。自身も競輪が大好きだ。「仕事で稼いだお金をバンクにぶち込みますよ。金網越しに(吉田)敏洋さんをやじります」と笑った。

長らくお疲れさまでした。