業界を支える1人に予想紙の売り子さんがいる。今回はこの道50年の名物売り子さんを紹介したい。名古屋、岐阜、大垣で予想紙を売っているのは高井秀子さん(70)。嫁ぎ先が予想紙販売所で結婚以来、夫と2人で売り場に立つ。

売り子一筋50年の高井秀子さん
売り子一筋50年の高井秀子さん

仕事が始まるのは早い。前売りは各場午前7時30分からだが、6時からファンサービスとして各レースごとの予想(買い目)をスタンプで1枚ずつ押していく。インターネットもない、予想紙しか情報がない昔は、その作業だけでもかなりの時間を要したことだろう。

ファン層の高齢化で常連客も少なくなったという。高井さんの思いも切実だ。「家で採れた野菜や漬物を差し入れてくれる常連さんもいます。会話も楽しいし、ありがたいこと。でも、免許を返納したお客さんも多く、簡単にネット投票ができる時代。もっと若い人にも競輪場に来てほしい」。今は本場開催でも併売が当たり前になっている。予想紙の売り上げも、本場より他場のグレードレースの方が多いそうだ。

一番の思い出は岐阜で加藤慎平(引退)と握手した写真が業界誌に掲載されたこと。「その年に慎平君がグランプリを取ってくれました。今度は(山口)拳矢君ともぜひ、握手を」と笑う。

雪が降る日も、猛暑日も高井さんは売り場を守る。