【ヤマコウの時は来た!】

 準決11Rで武田豊樹、平原康多が敗れる波乱があった。立役者は竹内雄作。連日逃げて3連勝。あと1勝で完全優勝となる。同県の後輩として応援している。

 そこに立ちふさがるのは稲垣裕之ではなく、日本最速と言われる新田祐大ではないだろうか。準決での新田の動きはすごかったと思う。岩本俊介に残り2周でたたかれた後、差し込んだまま打鐘を迎えた。稲垣がカマシに来たところを、岩本をすくって近畿ラインの3番手を取った。結果、中を割った神山雄一郎に先着されての2着ではあったが圧倒的な脚力を感じた。

 ダッシュ力のある岩本相手に一瞬で踏み勝つところに新田のすごさを感じた。2予では、直前の岐阜G3で圧倒的な強さを誇った山崎芳仁をあっさり封じた。不利な態勢を不利と感じさせない脚力が今の新田にはある。多少、仕掛けの遅さはあるが、番手が神さんというところも、後ろを気にせず自由に走れてプラスと働くだろう。

 私が新田に一番感心していることは、震災以降ずっと福島の児童施設を訪問していることだ。あまり公言していないが、4年にもなる。最初は人見知りだった子供たちも、今では大の新田ファンになっているらしい。日本選手権を優勝して訪問した時は、すごい歓声で迎えてくれたと言う。これが新田の原動力となっている。

 決勝は竹内が先行して桐山敬太郎がレースをかき乱す役割をするだろう。位置取りでは稲垣が上でも、混戦のあおりを受けるかもしれない。そうなったら新田の出番だ。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)

◆ヤマコウの印

◎新田祐大

○神山雄一郎

▲稲垣裕之

☆竹内雄作

△大塚健一郎