ガールズ南円佳(まどか・21=鹿児島)が、13日に行われた静岡決勝を制した。

116期で総合成績4位の有望株が、デビュー1年7カ月で待望の初優勝を飾った。今回の【敢闘門】は、その南による手記。同期で、優勝は吉岡詩織や久米詩ら8人に先を越されたが、ひとつ壁を乗り越え、再びやる気MAXになった今の思いをお伝えします。

南円佳が初Vのゴール写真を持って心境を語る。写真の右端に見える黒2番車・南円佳が白1番車・久米詩を差した(本人提供)
南円佳が初Vのゴール写真を持って心境を語る。写真の右端に見える黒2番車・南円佳が白1番車・久米詩を差した(本人提供)

競輪ファン、そして日刊スポーツ読者のみなさま。わたくし南円佳は、みなさまの応援や励ましのおかげで初めて優勝できました。ありがとうございます。

もう、うれしくてうれしくて。優勝したいし、する気でいたけど、でも、まさか本当にできるなんて。静岡の決勝は強い(久米)詩が目の前にいて、余裕を持ちながらペダルを回して追走しようと。ゴールしてからも、勝ったと思えなかった。やっとですから。同期がどんどん優勝していく。初優勝した(高木)佑真や(岩崎)ゆみこちゃんに「おめでとう」と言いながら、私も何とかしたいと焦っていたんです。今は少しホッとしました。よくしてくれる師匠(上吹越直樹)に、やっといい報告ができました。

南円佳(右)が同期ライバルの高木佑真に祝福される
南円佳(右)が同期ライバルの高木佑真に祝福される

ファンの方や同期、多くの選手や関係者の方から、メールとかツイッター、電話でいっぱい祝っていただきました。静岡から鹿児島に帰る時、羽田空港に向かう途中で、佑真はわざわざ会ってくれた。ゆみこちゃんは電話で。(山口)伊吹は涙声で私の母に電話して、初優勝を知らせてくれた。母は機械オンチで、レースを見るのにひと苦労なんですよ(苦笑)。高校のバレーの監督や、高3の夏にその試合会場で初めてお会いした(児玉)碧衣さんにも祝っていただいた。優勝が、この1度だけなんてならないように。よしっ、頑張るぞ!

樟南高バレーボール部でアタッカーとして活躍し、3年時にキャプテンを務めた
樟南高バレーボール部でアタッカーとして活躍し、3年時にキャプテンを務めた
高3夏にバレーボールの試合会場で、自身の母校を応援する児玉碧衣(右)と初対面
高3夏にバレーボールの試合会場で、自身の母校を応援する児玉碧衣(右)と初対面

体調が良くなったことが何よりです。デビューしてすぐにぎっくり腰になったり、去年の秋には落車でひどいケガをしたり。左腕に手術で縫うほどの傷ができたり、むち打ち症で頭痛や目まい、吐き気があったりも。

去年の春から夏にかけては、レースでどう走ったらいいのか分からなかった。立川とかで出げいこしても成績が上がらないし、競走得点も下がり、思い切ったことができない。でも、そんな悪循環から逃れられましたね。

レースへ向けてアップする姿(20年2月松戸)
レースへ向けてアップする姿(20年2月松戸)
緑6番車の南円佳(右)が発走機で号砲を待つ(20年2月松戸)
緑6番車の南円佳(右)が発走機で号砲を待つ(20年2月松戸)

今は走り方は大きく分けて3つ。静岡では1番車の詩に、2番車の私が離れずに付いていって直線勝負。それかSを取って先行した誰かに飛び付くか、前の方でいい位置に割り込んでから。勝てたのは、短走路の根占競技場で練習する成果かも。男子や選手を目指すアマチュアを相手に先行したり、まくったり。前に出て、カマシに飛び付くことも。それでたまには勝てる。短い直線で差すから、400バンクの静岡で詩を差せたかも。あとは同期の戦いをよく見て、私ならどうするとかイメトレが利いたかもですね。

根占競技場で沈む夕日を見る南円佳
根占競技場で沈む夕日を見る南円佳

鹿児島が大好きです。自然がすごい。根占まで家から車で往復4時間もかかるけど、そこまでして行くから練習に集中できる。ウエートトレとかパワーマックスの乗り込みとか増やし、体重も増えました。家では母がおいしい料理を作ってくれたり、勝てば喜んでくれたり。静岡の前日9日が誕生日で、いいプレゼントになった。そうそう、飼っているダックスフントも大事な仲間。「ロン」はいろんな芸ができる。私が「バンっ」と大声を出すと、こてんって倒れたり。癒やしてくれます。

室内トレーニングの様子をのぞく、愛犬の雄ダックスフント「ロン」を抱きしめる
室内トレーニングの様子をのぞく、愛犬の雄ダックスフント「ロン」を抱きしめる

今回の優勝は追い込み。碧衣さんに憧れて選手になったからには、自力勝負したい。いま多くの方から、フォームがいい感じに定まっていると言われるんです。自信になる。もっと練習して強くなる。みなさま、これからも応援をよろしくお願いします。

 【構成・野島成浩】

フォームづくりに試行錯誤したルーキー時代(20年2月松戸)
フォームづくりに試行錯誤したルーキー時代(20年2月松戸)

◆南円佳(みなみ・まどか)1999年(平11)8月3日、鹿児島県姶良市生まれ。21歳。幼少期は野山を駆け巡り、海で素潜りが日課。小6でバレーボールを始め、特待生で入学した強豪樟南高ではアタッカーとして活躍。高3秋に競輪学校(現・競輪選手養成所)116期の適性試験に一発合格。先行回数40度は、常にたたき合った高木佑真と並んでトップ。卒業記念11(6)着、総合成績4位。同期に同1位山口伊吹や2位鈴木樹里、3位吉岡詩織らがいる。19年7月奈良でデビュー、21年2月静岡で超レアな3連対なしの予選から決勝進出し初優勝(44(1)着)。血液O型、167センチ、62キロ、太もも57センチ、背筋力159キロ。趣味は山菜採りや海釣りなどアウトドア遊び。2月14日バレンタインデーの過ごし方は「地元に戻ってからふつうに練習」と恋愛はさておき、実力アップにまい進している。