小林莉子(30=東京)が予2・2Rに出走して1着となり、ガールズ歴代最多となる節目の通算1000回目の出走を白星で飾った。レース後は報道陣に囲まれ、「たくさん走りましたね。あと10年は現役を続けたい。その間に2000出走…いけるかな?」と笑みを浮かべた。

ガールズ1期生(102期)として、12年7月1日にデビュー。11年7カ月の歳月を経て、金字塔を打ち立てた。ルーキー時代は、選手数が少ないこともあって、「あっせんが月に1回しかない時もあった」と、走りたくても走れない、じくじ(じくじ)たる思いにさいなまれることもあった。そこで得た目標は、「与えられたあっせん(あっせん)は全力で走る」。その積み重ねが、今日までトップクラスとして走り続ける要因であろう。

ガールズの「鉄人」だからこそ、成し得た記録だ。19年8月、名古屋で行われた特別競輪「アルテミス賞レース」で、小林は落車の憂き目に遭った。自転車を携行しながらゴールに向かい、最後は観衆に向かって一礼。すぐに担架で救急搬送された。診断の結果は「鎖骨骨折」。手術を施す大けがだったが、次のあっせんだった松阪開催に中6日で強行出場し、なんと優勝してしまったのだ。当時を振り返り、「ケガをしても走ることはできますが、走るからには期待に応えないといけない」。満身創痍(そうい)でも、強い信念を貫き通して、奇跡を起こした。

後日談があった。「実は、直後に保険から調査が入ったんですよ、『本当に手術したんですか? 鎖骨を骨折したんですよね?』って」(笑)。常識では考えられない武勇伝に、保険のプロたちも目を疑ったのだ。

1001走目となるガールズ決勝・8Rは、再び1番車からのスタート。完全Vの3連勝で、通算105度目の優勝を手にする。